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数学・工学事典 / 数学 / 基礎数学 / 数と式の計算

多項式

単項式

いくつの数や文字をかけ合わせたものを \ommindex{単項式}{たんこうしき}といい, 単項式から数だけを取り出したものを, その単項式の \ommindex{係数}{けいすう}という。 1つの単項式について, かけ合わされている文字の個数を, その単項式の\ommindex{次数}{じすう}という。 2つ以上の文字を含む場合には, 特定の文字に着目して, それ以外の文字を数とみなすことがある。

多項式

単項式の和として表される式を \ommindex{多項式}{たこうしき}または\ommindex{整式}{せいしき}といい, 多項式に含まれる1つ1つの単項式を\ommindex{項}{こう}という。 単項式は, 項を1つだけ含む多項式である。 項のうち, 文字を含まないものを\ommindex{定数項}{ていすうこう}という。 定数項の次数は $0$ である。 多項式に含まれる単項式の次数のうち, もっとも大きいものをその多項式の次数という。

式の計算法則

% 多項式 $A$, $B$, $C$ について, 次の計算法則が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] 【交換法則】 $A+B=B+A, \quad AB=BA$ \item[(2)] 【結合法則】 $(A+B)+C=A+(B+C), \quad (AB)C=A(BC)$ \item[(3)] 【分配法則】 $A(B+C)=AB+AC$ \end{enumerate} % %

1つの文字についての多項式

1つの文字 $x$ だけを含む多項式を $x$ についての多項式といい, $A(x)$ などと表す。 $x$ についての $n$ 次多項式は % \[ A(x)=a_nx^n+a_{n-1}x^{n-1}+\cdots+a_1x+a_0 \] % と表される。 ここで, $a_k$ $(k=0,1,2,\ldots n)$ は $x^k$ の係数である。 多項式 $A(x)$ と数 $p$ に対して, $A(p)$ は, 多項式 $A(x)$ の $x$ に $p$ を代入して得られる値を意味する。

式の展開

1つの文字についての多項式を, 次数の高い順に並べることを \ommindex{降べきの順}{こうべきのじゅん}に整理するといい, 次数の低い順に並べることを \ommindex{昇べきの順}{しょうべきのじゅん}に整理するという。 分配法則にしたがって, 多項式の積を単項式の和として, 降べきの順または昇べきの順に整理することを, \ommindex{式の展開}{しきのてんかい}という。 次の\ommindex{展開公式}{てんかいこうしき}が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $(a+b)^2=a^2+2ab+b^2$ \item[ ] $(a+b)^3=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$ \item[ ] $(a+b)^4=a^3+4a^3b+6a^2b^2+4ab^3+b^4$ \item[(2)] $(a-b)(a+b)=a^2-b^2$ \item[ ] $(a-b)(a^2+ab+b^2)=a^3-b^3$ \item[ ] $(a-b)(a^3+a^2b+ab^2+b^3)=a^4-b^4$ \item[(3)] $(a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca$ \end{enumerate} %

応用例

  • 因数分解をしてみよう (基礎数学)

因数分解

因数

$A$, $B$ を1次以上の多項式とする。 多項式 $Q$, $R$ が % \begin{align*} A=BQ+R \quad (\mbox{$R$ の次数} r < \mbox{$Q$ の次数}) \end{align*} % を満たすとき, $Q$ を $A$ を $B$ で割ったときの\ommindex{商}{しょう}, $R$ を $A$ を $B$ で割ったときの\ommindex{余り}{あまり} または\ommindex{剰余}{じょうよ}という。 $A$ を $B$ で割ったときの余りが $0$ であるとき, $A$ は $B$ で\ommindex{割りきれる}{わりきれる}という。 $A$ が $B$ で割りきれるとき, すなわち, $A=BQ$ という関係が成り立つとき, $B$ および $Q$ を $A$ の\ommindex{因数}{いんすう}という。 2つの多項式 $A$, $B$ が, 1次以上の多項式 $C$ を用いて, $A=A'C$, $B=B'C$ と書けるとき, $C$ を $A$, $B$ の\ommindex{共通因数}{きょうつういんすう}という。 共通因数をもたない多項式は \ommindex{互いに素}{たがいにそ}であるという。

因数分解

多項式 $P$ を, 多項式 $A$, $B$ を用いて $P=AB$ と積の形で表すことを, $P$ を\ommindex{因数分解}{いんすうぶんかい}するという。 このとき, $A$, $B$ は $P$ の因数である。 % 次のような因数分解の公式が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $a^2\pm 2ab+b^2=(a\pm b)^2$ \item[(2)] $a^3\pm 3a^2b+3ab^2\pm b^3=(a\pm b)^3$ \item[(3)] $a^2-b^2=(a-b)(a+b)$ \item[(4)] $a^3\pm b^3=(a\pm b)(a^2\mp ab+b^2)$ \end{enumerate} %

因数定理

剰余の定理

$A(x)$ を1次以上の多項式, $\alpha$ を定数とする。 このとき, $A(x)$ を $(x-\alpha)$ で割ったときの余りを $R$ とすれば % \[ R=A(\alpha) \] % が成り立つ。 これを\ommindex{剰余の定理}{じょうよのじょていり}という。 %

因数定理

$A(x)$ を1次以上の多項式, $\alpha$ を定数とする。 このとき, $A(x)$ が $(x-\alpha)$ で割りきれるための必要十分条件は % \[ A(\alpha)=0 \] % となることである。 これを\ommindex{因数定理}{いんすうていり}という。

集合

集合

% ものの集まりを\ommindex{集合}{しゅうごう}といい, 集合に含まれる一つ一つのものをその集合の \ommindex{要素}{ようそ}という。 $a$ が集合 $A$ の要素であるとき, $a$ は $A$ に \ommindex{属する}{ぞくする}といい, $a\in A$ または $A\ni a$ と表す。 また $a$ が $A$ の要素でないことを $a\notin A$ または $A\notin a$ と表す。 ある集合を考えるときの, 考察の対象となるもの全体を \ommindex{全体集合}{ぜんたいしゅうごう}という。 %

部分集合

% $A$ のすべての要素が $B$ の要素であるとき, $A$ は $B$ の \ommindex{部分集合}{ぶぶんしゅうごう}である, または, $A$ は $B$ に \ommindex{含まれる}{ふくまれる}といい, $A\subset B$ または $B\supset A$ と表す。 $A\subset B$ かつ $B\subset A$ のとき, $A$ と $B$ は等しいといい, $A=B$ と表す。 とくに, $A$ 自身も $A$ の部分集合である。 %

共通部分と和集合

% 2つの集合 $A$, $B$ に対して, $A$ と $B$ の両方に含まれる要素全体の集合を $A$ と $B$ の\ommindex{共通部分}{きょうつうぶぶん}といい, $A\cap B$ と表す。 また, $A$ と $B$ のどちらかに含まれる要素全体の集合を $A$ と $B$ の\ommindex{和集合}{わしゅうごう}といい, $A\cup B$ と表す。 %

補集合と空集合

% 全体集合を $U$ とするとき, 集合 $A$ に対して, $A$ に属さない要素全体の集合を $A$ の \ommindex{補集合}{ほしゅうごう}といい, $\overline{A}$ で表す。 すなわち, % \[ \overline{A}=\{x\in U\,|\, x\notin A\} \] % である。 また, 要素をもたない集合を \ommindex{空集合}{くうしゅうごう}といい, 記号 $\phi$ で表す。 全体集合, 補集合, 空集合について次の関係が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $A\cap \overline{A}=\phi$ \item[(2)] $A\cup \overline{A}=U$ \item[(3)] $\overline{U}=\phi$ \item[(4)] $\overline{\phi}=U$ \item[(5)] $\overline{\overline{A}}=A$ \end{enumerate} % %

ド・モルガンの法則

% $A\cap B$ は $A$ と $B$ の両方に含まれる要素の集合であるから, その補集合は $A$ か $B$ のどちらかに含まれない。 すなわち % \begin{align*} \overline{A\cap B}=\overline{A}\cup\overline{B} \end{align*} % が成り立つ。 また, $A\cup B$ の要素は $A$ か $B$ のどちらかに含まれるから, その補集合は $\overline{A\cup B}$ の要素は $A$ にも $B$ にも含まれない。 すなわち % \begin{align*} \overline{A\cup B}=\overline{A}\cap\overline{B} \end{align*} % が成り立つ。 これらの法則を\ommindex{ド・モルガンの法則}{どもるがんのほうそく}という。 %

数の集合

% 数の集合は, 次の記号で表されることが多い。 % \begin{enumerate} \item $\textbf{N}$ : 自然数全体の集合 \item $\textbf{Z}$ : 有理数全体の集合 \item $\textbf{R}$ : 実数全体の集合 \item $\textbf{C}$ : 複素数全体の集合 \end{enumerate} % %

区間

区間

% 数直線上の連続した範囲を \ommindex{区間}{くかん}という。 区間はその端点を含むかどうかによって, 次のようなものがある。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] \ommindex{閉区間}{へいくかん}   $[\,a,b\,]=\{x\in\textbf{R}\,|\, a\le x \le b\}$ \item[$\bullet$] \ommindex{開区間}{かいくかん}   $(a,b)=\{x\in\textbf{R}\,|\, a\le x \le b\}$ \item[$\bullet$] \ommindex{半開区間}{はんかいくかん}   $[\,a,b)=\{x\in\textbf{R}\,|\, a\le x < b\}$,   $(a,b\,]=\{x\in\textbf{R}\,|\, a< x \le b\}$ \end{enumerate} % %

無限区間

% $\infty$ を含む区間を\ommindex{無限区間}{むげんくかん}という。 $(-\infty,\infty)$ は\ommindex{全区間}{ぜんくかん}ということもある。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] $[\,a,\infty)=\{x\in\textbf{R}\,|\, a\le x\}$ \item[$\bullet$] $(a,\infty)=\{x\in\textbf{R}\,|\, a< x\}$ \item[$\bullet$] $(-\infty,b\,]=\{x\in\textbf{R}\,|\, x\le b\}$ \item[$\bullet$] $(-\infty,b)=\{x\in\textbf{R}\,|\, x< b\}$ \item[$\bullet$] $(-\infty,\infty)=\textbf{R}$ \end{enumerate} % %

命題

命題

% それが正しいか正しくないかの判断の対象となる 文または式を\ommindex{命題}{めいだい}という。 命題が正しいことを\ommindex{真}{しん}である, 正しくないことを\ommindex{偽}{ぎ}であるという。 文字を含む文や式で, 文字の値によって真偽が定まるものを\ommindex{条件}{じょうけん}という。 条件 $p$ に対して, $p$ でないという条件を $p$ の\ommindex{否定}{ひてい}といい, $\overline{p}$ などで表す。 %

真理集合

% 条件 $p$ を満たすもの全体の集合を, 条件 $p$ の\ommindex{真理集合}{しんりしゅうごう}という。 条件 $p$, $q$ の真理集合をそれぞれ $P$, $Q$ とする。 命題「$p$ ならば $q$」は, $P\subset Q$ であるときに限って真であると定める。 したがって, $p$ であるが $q$ でない例があれば, この命題は偽である。 このような例を\ommindex{反例}{はんれい}という。 $p$ をこの命題の\ommindex{仮定}{かてい}, $q$ をこの命題の\ommindex{結論}{けつろん}という。 %

必要条件と十分条件

% 命題「$p$ ならば $q$ である」が真であるとき, $p \Longrightarrow q$ と表す。 $p \Longrightarrow q$ であるとき, % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] 条件 $q$ を, $p$ であるための\ommindex{必要条件}{ひつようじょうけん} \item[$\bullet$] 条件 $p$ を, $q$ であるための\ommindex{十分条件}{じゅうぶんじょうけん} \end{enumerate} % という。 $p \Longrightarrow q$ かつ $q \Longrightarrow p$ であるとき, 記号 % \[ p \Longleftrightarrow q \] % で表し, $q$ は $p$ であるための \ommindex{必要十分条件}{ひつようじゅうぶんじょうけん}であるという。 このとき, $p$ は $q$ であるための必要十分条件でもある。 $p$ と $q$ は\ommindex{同値}{どうち}であるという。 %

2次式

2次式

% $a$, $b$, $c$ が定数であるとき, % \begin{align*} ax^2+bx+c \quad (a\ne 0) \end{align*} % を $x$ についての\ommindex{2次式}{にじしき}という。 2次式は % \begin{align*} ax^2+bx+c = a\left\{\left(x+\frac{b}{\,2a\,}\right)^2 - \frac{b^2-4ac}{\,4a^2\,}\right\} \end{align*} % と変形することができる。 右辺の形の式を2次式の\ommindex{完全平方形}{かんぜんへいほうけい}という。 複素数も許容すれば, この式はさらに % \begin{align*} & ax^2+bx+c \\ &= a\left\{ \left(x+\frac{b}{\,2a\,}\right)^2 - \sqrt{\frac{b^2-4ac}{\,4a^2\,}}^2 \right\} \\ &= a \left( x-\frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{\,2a\,} \right) \left( x-\frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{\,2a\,} \right) \end{align*} % と因数分解することができる。 %

2次式の符号

% $x$ についての2次式 $ax^2+bx+c$ ($a\ne 0$) について, 式 % \begin{align*} D=b^2-4ac \end{align*} % を\ommindex{判別式}{はんべつしき}という。 判別式を用いれば, 2次式の完全平方形は % \begin{align*} ax^2+bx+c = a\left\{\left(x+\frac{b}{\,2a\,}\right)^2 - \frac{D}{\,4a^2\,}\right\} \end{align*} % と表すことができる。 したがってその符号について, 次のことが成り立つ。, % \begin{enumerate} \item[(1)] $a>0$, $b^2-4ac<0$ のとき, 任意の実数 $x$ に対して % \begin{align*} ax^2+bx+c>0 \end{align*} % である。 このとき, 2次式は\ommindex{正定値}{せいていち}であるという。 \item[(2)] $a>0$, $b^2-4ac=0$ のとき, 任意の実数 $x$ に対して % \begin{align*} ax^2+bx+c\ge 0 \end{align*} % である。 等号は $x=-\frac{b}{2a}$ のときに限って成り立つ。 このとき, 2次式は\ommindex{準正定値}{じゅんせいていち}であるという。 \item[(3)] $a<0$, $b^2-4ac<0$ のとき, 任意の実数 $x$ に対して % \begin{align*} ax^2+bx+c<0 \end{align*} % である。 このとき, 2次式は\ommindex{負定値}{ふていち}であるという。 \item[(4)] $a<0$, $b^2-4ac=0$ のとき, 任意の実数 $x$ に対して % \begin{align*} ax^2+bx+c\le 0 \end{align*} % である。 等号は $x=-\frac{b}{2a}$ のときに限って成り立つ。 このとき, 2次式は\ommindex{準負定値}{じゅんふていち}であるという。 \end{enumerate} % %

2次方程式

2次方程式の解の公式

% $a$, $b$, $c$ を実数とするとき, $x$ に関する方程式 % \begin{align*} ax^2+bx+c=0 \quad (a\ne 0) \end{align*} % を\ommindex{2次方程式}{にじほうていしき}という。 この方程式の左辺は % \begin{align*} & ax^2+bx+c \\ &= a\left(x^2+\frac{b}{a}+\frac{c}{a}\right) \\ &= a\left\{x^2+2\cdot \frac{b}{2a}+\left(\frac{b}{2a}\right)^2 -\left(\frac{b}{2a}\right)^2+\frac{c}{a}\right\} \\ &= a\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 -\frac{b^2-4ac}{4a^2}\right\} \\ &= a\left\{ \left(x+\frac{b}{2a}\right)^2 - \sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}^2\right\} \\ &= a \left(x+\frac{b}{2a}+\sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}\right) \left(x+\frac{b}{2a}-\sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}}\right) \end{align*} % と変形できる。 ここで, 複号を $a$ の符号と同じものとすれば % \begin{align*} \sqrt{\frac{b^2-4ac}{4a^2}} = \pm\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \quad \end{align*} % となるから, 与えられた2次方程式の解は % \begin{align*} x = \frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \end{align*} % となる。 これを2次方程式の\ommindex{解の公式}{かいのこうしき}という。 %

判別式

% 2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ $(a\ne 0)$ に対して, % \begin{align*} D=b^2-4ac \end{align*} % とおく。 このとき, この2次方程式の解は, $D$ の符号によって次のように分類することができる。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] $D=b^2-4ac>0$ ならば2つの異なる\ommindex{実数解}{じっすうかい}をもつ。 \item[$\bullet$] $D=b^2-4ac=0$ ならば ただ1つの解 $x=\displaystyle -\frac{b}{2a}$ をもつ。 これを\ommindex{2重解}{にじゅうかい}という。 \item[$\bullet$] $D=b^2-4ac=0$ ならば2つの異なる\ommindex{虚数解}{きょすうかい}をもつ。 \end{enumerate} % 式 $D=b^2-4ac$ を2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の 解の\ommindex{判別式}{はんべつしき}という。 %

解と係数の関係

% 2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解を $\alpha$, $\beta$ とすると, これらの和, 積について % \begin{align*} \alpha+\beta &= \frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a} + \frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \\ &= -\frac{b}{a} \\ \alpha\beta &= \frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \cdot \frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a} \\ &= \frac{b^2-(b^2-4ac)}{4a^2} \\ &= \frac{c}{a} \end{align*} % が成り立つ。 これら2つの式 % \begin{align*} \alpha+\beta=-\frac{b}{a}, \quad \alpha\beta=\frac{c}{a} \end{align*} % をまとめて, 2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の \ommindex{解と係数の関係}{かいとけいすうのかんけい}という。 %

分数式

分数式

% $A$, $B$ を多項式 ($B\ne 0$) とするとき, $\frac{A}{B}$ を\ommindex{分数式}{ぶんすうしき}という。 分母と分子に共通因数がない分数式を \ommindex{既約分数式}{きやくぶんすうしき}という。 分数式の計算は次のように行う。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{A}{B}\times\frac{C}{D} =\frac{AC}{BD}$ \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{A}{B}÷\frac{C}{D} =\frac{A}{B}\times\frac{D}{C} =\frac{AD}{BC}$ \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{A}{C}\pm \frac{B}{C} = \frac{A\pm B}{C}$  (複号同順) \end{enumerate} % % %

繁分数

% 分子や分母に分数式が含まれる分数式を \ommindex{繁分数式}{はんぶんすうしき}という。 繁分数式は, 次のようにして簡単な分数式に変形できる。 % \[ \frac{\displaystyle \frac{A}{B}}{\displaystyle \frac{C}{D}} = \frac{\displaystyle \frac{A}{B}\times BD}{\displaystyle \frac{C}{D}\times BD} = \frac{AD}{BC} \] % %

分母の有理化・分子の有理化

% 分母に無理式を含んだ分数式を, 次のようにして, 有理式を分母とする分数式にすることを \ommindex{分母の有理化}{ぶんぼのゆうりか}という。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $a$ が正の数のとき, % \begin{align*} \frac{1}{\,\sqrt{a}\,} = \frac{\sqrt{a}}% {\,\left(\sqrt{a}\right)^2\,} = \frac{\sqrt{a}}{\,a\,} \end{align*} % \item[(2)] $a$ と $b$ が異なる正の数のとき, % \begin{align*} \frac{1}{\,\sqrt{a}+\sqrt{b}\,} = \frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}% {\,(\sqrt{a}+\sqrt{b}\,)(\sqrt{a}-\sqrt{b}\,)\,} = \frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{\,a-b\,} \end{align*} % \end{enumerate} % また, 分子に無理式を含んだ分数式を, 次のようにして, 有理式を分子とする分数式にすることを \ommindex{分子の有理化}{ぶんしのゆうりか}という。 % \begin{align*} \,\sqrt{a}-\sqrt{b} = \frac{\,(\sqrt{a}-\sqrt{b}\,)(\sqrt{a}+\sqrt{b}\,)\,}% {\sqrt{a}+\sqrt{b}} = \frac{\,a-b\,}{\sqrt{a}+\sqrt{b}} \end{align*} % %

部分分数分解

% 分母が因数分解された分数式は, 分母の因数を分母とする分数式の和に変形することができる。 これを\ommindex{部分分数分解}{ぶぶんぶんすうぶんかい}という。 部分分数分解は次のように行う。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{F(x)}{(x+a)(x+b)}=\frac{A}{x+a}+\frac{B}{x+b}$ \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{F(x)}{(x+a)(x^2+bx+c)} = \frac{A}{x+a}+\frac{Bx+C}{x^2+bx+c}$ \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{F(x)}{(x+a)^2} = \frac{A}{x+a}+\frac{B}{(x+a)^2}$ \item[$\bullet$] $\displaystyle \frac{F(x)}{(x^2+bx+c)^2} = \frac{Ax+B}{x^2+bx+c}+\frac{Cx+D}{(x^2+bx+c)^2}$ \end{enumerate} % ここで, $F(x)$ は次数が分母の次数より低い多項式, $a$, $b$, $c$, $A$, $B$, $C$, $D$ は定数であり, (1), (2) において分母の因数は互いに素であるとする。

応用例

  • 一自由度系の振動(1) (機械力学(V-A-3 力学))
  • 伝導伝熱(3) 定常熱伝導の温度分布 (伝熱工学(V-A-4 熱流体))
  • 積分速度式の導出(2次反応) (物理化学)
  • ラプラス変換演習 (電気回路)
  • 1次遅れ系の周波数応答の振幅 (計測制御工学)
  • 理想溶液の回分単蒸留 (化学工学)

実数

実数の分類

% \ommindex{実数}{じっすう}はすべて \ommindex{有限小数}{ゆうげんしょうすう} または \ommindex{無限小数}{むげんしょうすう}で表すことができる。 このうち, 小数点以下が $0$ である小数が \ommindex{整数}{せいすう}である。 正の整数を \ommindex{自然数}{しぜんすう}という。 \ommindex{有理数}{ゆうりすう}は分数で表される実数であり, 有限小数または循環小数で表すことができる。 逆に, 有限小数, 循環小数は分数で表すことができる。 \ommindex{無理数}{むりすう}は循環しない無限小数であり, たとえば, $0.10110111011110\cdots$ は無理数である。 % % % \begin{center} % \input{./ommF/実数の分類.wtp} % \end{center} % % % %=image:/media/2014/07/30/140672192394225200.png:

絶対値 (実数の―)

% 実数 $a$ に対して, 正の実数 $\left|a\right|$ を次のように定める。 $\left|a\right|$ を $a$ の\ommindex{絶対値}{ぜったいち}という。 \[ \left|a\right| = \left\{\begin{array}{rcc} a && (a>0) \\ -a && (a<0) \end{array}\right. \] %

数直線

% 直線 $\ell$ 上に異なる2点 O, E を定め, $\ell$ 上の点 A に対して, 次の規則によって実数 $a$ を対応させるとき, 直線 $\ell$ を \ommindex{数直線}{すうちょくせん}といい, 点 O をその \ommindex{原点}{げんてん}という。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] 点 O には $0$, 点 E には $1$ を対応させる。 \item[$\bullet$] $\text{OA}=a$ である点 A に対して, A が O に関して E と同じ側にあるとき $a$, A が O に関して E と逆の側にあるとき $-a$ を対応させる。 \end{enumerate} %

累乗根

平方根 (実数の―)

% $a\ge 0$ に対して $x^2=a$ となる 負でない実数 $x$ を $a$ の\ommindex{平方根}{へいほうこん}といい, 平方根を $\sqrt{a}$ と表す。 したがって, $a\ge 0$ のとき $\sqrt{a}\ge 0$ である。 負の数の平方根は, 実数の範囲では存在しない。 $\sqrt{a}$ を\ommindex{ルート}{るーと}$a$ といい, $\sqrt{\ }$ を\ommindex{根号}{こんごう}という。 %

平方根 (複素数の―)

% 複素数 $a$ に対して $x^2=a$ となる複素数 $x$ を $a$ の \ommindex{平方根}{へいほうこん}といい, $\sqrt{a}$ と表す。 $a\ne 0$ のとき, 極形式で表された複素数 $a=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})$ に対して, $\sqrt{a}$ は % \[ \sqrt{r}\left( \cos{\dfrac{\theta}{2}} + i\sin{\dfrac{\theta}{2}} \right),    \sqrt{r}\left\{ \cos{\left(\dfrac{\theta}{2}+\pi\right)} + i\sin{\left(\dfrac{\theta}{2}+\pi\right)} \right\} \] % の2個の複素数を表す。 $a=0$ のとき, $a$ の平方根は $0$ だけである。 %

累乗根 (実数の―)

% $n$ を2以上の自然数とする。 複素数 $a$ に対して, $x^n=a$ となる複素数 $x$ を $a$ の \ommindex{$\boldsymbol{n}$乗根}{nじょうこん}といい, $\sqrt[n]{a}$ と表す。 $a\ne 0$ のとき, 極形式で表された複素数 $a=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})$ に対して, $\sqrt[n]{a}$ は % \[ \sqrt{r}\left( \cos{\dfrac{\theta+2k\pi}{n}} + i\sin{\dfrac{\theta+2k\pi}{n}} \right) \quad (k=0,1,2,\ldots, n-1) \] % の $n$ 個の複素数を表す。 2乗根は\ommindex{平方根}{へいほうこん}, 3乗根は\ommindex{立方根}{りっぽうこん}という。 平方根, 立方根, 4乗根, $\ldots$ を総称して \ommindex{累乗根}{るいじょうこん}という。 %

累乗根 (複素数の―)

% $n$ を2以上の自然数とする。 複素数 $a$ に対して, $x^n=a$ となる複素数 $x$ を $a$ の \ommindex{$\boldsymbol{n}$乗根}{nじょうこん}といい, $\sqrt[n]{a}$ と表す。 $a\ne 0$ のとき, 極形式で表された複素数 $a=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta})$ に対して, $\sqrt[n]{a}$ は % \[ \sqrt{r}\left( \cos{\dfrac{\theta+2k\pi}{n}} + i\sin{\dfrac{\theta+2k\pi}{n}} \right) \quad (k=0,1,2,\ldots, n-1) \] % の $n$ 個の複素数を表す。 2乗根は\ommindex{平方根}{へいほうこん}, 3乗根は\ommindex{立方根}{りっぽうこん}という。 平方根, 立方根, 4乗根, \ldots を総称して \ommindex{累乗根}{るいじょうこん}という。 %

複素数

複素数

% $x^2=-1$ を満たす数を $i$ と表し, これを\ommindex{虚数単位}{きょすうたんい}という。 虚数単位を含む数 % \[ z=a+ib \quad (\mbox{$a$, $b$ は実数。$a+bi$ とかく場合もある}) \] % を\ommindex{複素数}{ふくそすう}といい, $a$ を $z$ の\ommindex{実部}{じつぶ}, $b$ を $z$ の\ommindex{虚部}{きょぶ}という。 $z$ の実部を $\textrm{re}{z}$, 虚部を $\textrm{im}{z}$ と表す。 $a+i0$, $0+ib$ はそれぞれ $a$, $ib$ と表す。 実数 $a$ は $a+i0$ の形の複素数である。 % $a+ib=0$ となるのは $a=b=0$ の場合だけである。 複素数 $a+ib$ は $b\ne 0$ のとき\ommindex{虚数}{きょすう}, $a=0$, $b\ne 0$ のとき\ommindex{純虚数}{じゅんきょすう}という。 %

共役複素数

% 複素数 $z=a+ib$ に対して, $a-ib$ を $z$ の\ommindex{共役複素数}{きょうやくふくそすう}といい, $\overline{z}$ で表す。 %

複素平面

% 座標平面上の点 $(a,b)$ に複素数 $z=a+ib$ を対応させた平面を \ommindex{複素平面}{ふくそへいめん}または \ommindex{ガウス平面}{がうすへいめん}という。 複素平面の $x$ 軸上の点 $(a,0)$ には実数 $a$, $y$ 軸上の点 $(0,b)$ には純虚数 $ib$ が対応している。 このため, $x$ 軸を\ommindex{実軸}{じつじく}, $y$ 軸を\ommindex{虚軸}{きょじく} という。 %

複素数の絶対値

% 複素数 $z=a+ib$ に対して, $\sqrt{a^2+b^2}$ を複素数 $z$ の\ommindex{絶対値}{ぜったいち2}といい, $\left|z\right|$ で表す。 $\left|z\right|$ は複素平面上の原点 O と点 $z$ の距離である。 任意の複素数 $z$, $w$ に対して, 次の不等式が成り立つ。 % \begin{align*} \left|z\right|-\left|w\right| \le \left|z+w\right| \le \left|z\right|+\left|w\right| \end{align*} % これを\ommindex{三角不等式}{さんかくふとうしき}という。 %

複素数の偏角

% $0$ でない複素数 $z=a+ib$ に対して, $r=\left|z\right|$ とするとき, % \[ \cos{\theta}=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}=\dfrac{a}{\,r\,}, \quad \sin{\theta}=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}=\dfrac{b}{\,r\,} \] % を満たす $\theta$ を 複素数 $z$ の\ommindex{偏角}{へんかく}といい, $\arg{z}$ で表す。 $z=0$ のとき, $z$ の偏角は任意とする。 %

複素数の極形式

% 複素数 $z=a+ib$ の絶対値を $r$, 偏角を $\theta$ とするとき, $z$ は % \[ z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \] % と表すことができる。 これを $z$ の\ommindex{極形式}{きょくけいしき}という。 極形式で表された2つの複素数 $z_1=r_1(\cos{\theta_1}+i\sin{\theta_1})$, $z_2=r_2(\cos{\theta_2}+i\sin{\theta_2})$ について, % \[ z_1z_2 = r_1r_2\{\cos{(\theta_1+\theta_1)}+i\sin{(\theta_1+\theta_1)}\}, \quad \dfrac{z_1}{z_2} =\dfrac{r_1}{r_2}\{\cos{(\theta_1-\theta_1)}+i\sin{(\theta_1-\theta_1)}\} \] % が成り立つ。 これらの式は次のように表すことができる。 % \begin{enumerate} \item $\left|z_1z_2\right|=\left|z_1\right|\left|z_2\right|$,    $\arg(z_1z_2)=\arg{z_1}+\arg{z_2}$ \item $\left|\dfrac{z_1}{z_2}\right| = \dfrac{\left|z_1\right|}{\left|z_2\right|}$,    $\arg{\dfrac{z_1}{z_2}}=\arg{z_1}-\arg{z_2}$ \end{enumerate} %

ド・モアブルの公式

% $n$ を整数とするとき, 極形式で表された複素数 $\cos{\theta}+i\sin{\theta}$ について, 次が成り立つ。 % \[ (\cos{\theta}+i\sin{\theta})^n=\cos{n\theta}+i\sin{n\theta} \] % これを\ommindex{ド・モアブルの公式}{どもあぶるのこうしき}という。 %

応用例

  • ブリッジ回路 (電気回路)
  • 交流の表示法 (電気回路)
  • 交流の表示法(加減算) (電気回路)
  • 交流の表示法(乗算) (電気回路)
  • 交流の表示法(除算) (電気回路)