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数学・工学事典 / 数学 / 基礎数学 / 指数関数・対数関数

指数法則

指数法則

% $a$ を正の定数とする。 実数 $x$ に対して, $a^x$ の値を, 次の規則が成り立つように定める。 % \begin{enumerate} \item[$\bullet$] 任意の実数 $x$ に対して $a^x>0$ である。 \item[$\bullet$] $a^x$ は $x$ について連続である。 \item[$\bullet$] 正の数 $a$, $b$ と任意の実数 $r$, $s$ について次が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $a^r a^s=a^{r+s}$ \item[(2)] $\displaystyle \frac{a^r}{a^s}=a^{r-s}$ \item[(3)] $\left(a^r\right)^s=a^{rs}$ \item[(4)] $\left(ab\right)^r=a^{r}b^{r}$ \end{enumerate} % \end{enumerate} % (3) の規則を\ommindex{指数法則}{しすうほうそく}という。 ここで, ``$a^x$ は $x$ について連続である''ということは, $r$ が $x$ に限りなく近づくとき, $a^r$ は $a^x$ に限りなく近づくことを意味する。 このことから, % \begin{enumerate} \item[(1)] $a^0=1$ \item[(2)] $\displaystyle a^{-1}=\frac{1}{\,a\,}$ \item[(3)] $a^{\frac{1}{n}}=\sqrt[n]{a}$ \end{enumerate} が成り立つ。 ここで, $\sqrt[n]{a}$ は``$n$ 乗すると $a$ になる正の数''を表す。

応用例

  • 熱力学の第二法則(3) カルノーサイクル (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 流体の動力学(7) 圧縮性流体の運動方程式 (流れ学 (V-A-4 熱流体))
  • 理想気体の性質と状態変化(9) 断熱変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 理想気体の性質と状態変化(10) 断熱変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 理想気体の性質と状態変化(11) 断熱変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 理想気体の性質と状態変化(13) ポリトロープ変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))

指数関数

指数関数

% $a$ を $1$ と異なる正の定数とする。 このとき, 関数 % \begin{align*} y=a^x \end{align*} % を $a$ を\ommindex{底}{てい}とする \ommindex{指数関数}{しすうかんすう}という。 %

指数関数のグラフ

% $a>1$ のとき, 指数関数 $y=a^x$ のグラフは次の性質をもつ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] 点 $(0,1)$, $(1,a)$ を通る。 \item[(2)] 全区間で単調増加であり, $x$ の値が限りなく大きくなると $y$ の値は限りなく大きくなる。 \item[(3)] 全区間で下に凸である。 \item[(4)] $x$ 軸が漸近線である。 $x$ が限りなく小さくなると $y$ は限りなく $0$ に近づく。 \item[(5)] $y=a^x$ と $y=a^{-x}$ のグラフは $y$ 軸に関して対称である。 \end{enumerate} %

応用例

  • 1次遅れ系のステップ応答 (計測制御工学)
  • ふく射伝熱(1) ふく射の基本法則 (伝熱工学(V-A-4 熱流体))
  • 対流熱伝達(3) 円管内の対流熱伝達 (伝熱工学(V-A-4 熱流体))
  • 管型反応器の2次反応による反応器体積と反応率 (反応工学)

対数

対数

% $a$ は $1$ と異なる正の定数とする。 $y=a^x$ を満たす $x$ の値を $x=\log_{a}{y}$ とかき, これを $a$ を\ommindex{底}{てい}とする $y$ の \textbf{対数}{たいすう}という。 また, $y$ を $\log_{a}{y}$ の\ommindex{真数}{しんすう}という。 真数はつねに正である。 これを\ommindex{真数条件}{しんすうじょうけん}という。 対数の値を求める上で, 次の式は重要である。 % \begin{align*} \log_{a}a^{p}=p \end{align*} %%

対数の計算公式

% $a$, $M$, $N$ を $a\ne 1$ を満たす正の数とするとき, 次の性質が成り立つ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] $\log_{a}{M}+\log_{a}{N}=\log_{a}{MN}$ \item[(2)] $\displaystyle \log_{a}{M}-\log_{a}{N}=\log_{a}\frac{M}{N}$ \item[(3)] $r\log_{a}{M}=\log_{a}{M^r}$ \end{enumerate} % %

底の変換公式

% $a$, $M$ を $a\ne 1$ を満たす正の数とするとき, $1$ と異なる任意の正の数 $b$ に対して, 次の性質が成り立つ。 % \begin{align*} \log_{a}{M}=\frac{\log_{b}{M}}{\log_{b}{a}} \end{align*} % この式は, 左辺の対数の底 $a$ を $b$ に変えるものとなっており, これを\ommindex{底の変換公式}{ていのへんかんこうしき}という。 %

常用対数

% 底を $10$ とする対数を\ommindex{常用対数}{じょうようたいすう}という。 $1\le M<10$ を真数とする対数の値 $\log_{10}{M}$ の値は 一覧表となっており, これを\ommindex{常用対数表}{じょうようたいすうひょう}という。 常用対数表は数値計算に用いられる。 たとえば, $M=3^{100}$ を計算したいとする。 常用対数表から, $\log_{10}{3}≒0.4771$ であり, $\log_{10}{5.13}≒0.71$ であることがわかるから, 対数の性質を用いると % \begin{align*} \log_{10}{3}^{100} &= 100\log_{10}{3} \\ &≒ 100\cdot 0.4771 \\ &= 47.71 \\ &= 47+0.71 \\ &≒ \log_{10}{10^{47}}+\log_{10}{5.13} \\ &= \log_{10}{\left(5.13×10^{47}\right)} \end{align*} % が得られる。 したがって, $3^{100}≒5.13×10^{47}$ である。 %

応用例

  • 一自由度系の振動(4) (機械力学(V-A-3 力学))
  • 熱力学の第二法則(13) 理想気体のエントロピ変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 熱力学の第二法則(14) サイクル(熱効率,p-v線図,T-s線図) (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 熱力学の第二法則(15) サイクル(熱効率,p-v線図,T-s線図) (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 熱力学の第二法則(17) 混合における有効エネルギ変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 熱力学の第二法則(18) 相変化における有効エネルギ変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • 引張と圧縮(2) (材料力学(V-A-3 力学))
  • 管型反応器の2次反応による反応率と反応器体積 (反応工学)
  • 理想気体の性質と状態変化(9) 断熱変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))

対数関数

対数関数

% $a$ を $1$ と異なる正の定数とする。 このとき, $x>0$ に対して定義される関数 % \begin{align*} y=\log_{a}{x} \end{align*} % を $a$ を\ommindex{底}{てい}とする \ommindex{対数関数}{たいすうかんすう}という。 対数の定義から % \begin{align*} \log_{a}{a^x}=x , \quad a^{\log_{a}{y}}=y \end{align*} % であるから, $f(x)=\log_{a}{x}$ と $x=a^{y}$ は逆関数である。

対数関数のグラフ

% $a>1$ のとき, 対数関数 $y=\log_{a}{x}$ は次の性質をもつ。 % \begin{enumerate} \item[(1)] 点 $(1,0)$, $(a,1)$ を通る。 \item[(2)] 全区間で単調増加であり, $x$ の値が限りなく大きくなると $y$ の値は限りなく大きくなる。 \item[(3)] 全区間で上に凸である。 \item[(4)] $y$ 軸が漸近線である。 $x$ が限りなく $0$ に近づくと $y$ は限りなく小さくなる。 \item[(5)] $y=\log_{a}{x}$ と $y=a^{x}$ のグラフは直線 $y=x$ に関して対称である。 \end{enumerate} % %

応用例

  • 情報量 (情報理論)
  • 管型反応器の2次反応による反応器体積と反応率 (反応工学)
  • 活性化エネルギー (指数関数) (化学工学)
  • 熱力学の第二法則(12) 混合におけるエントロピ変化 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
  • レイノルズ数と摩擦係数 (べき関数) (化学工学)
  • 熱力学の第二法則(19) 理想気体の有効エネルギ (熱力学 (V-A-4 熱流体))