平面図形
2点間の距離
座標平面上の2点 A$(x_1,y_1)$,
B$(x_2,y_2)$ 間の距離を $d$ とすれば,
%
\begin{align*}
d
=
\sqrt{
\left(x_2-x_1\right)^2
+
\left(y_2-y_1\right)^2
}
\end{align*}
%
が成り立つ。
とくに,
原点と点 $(x,y)$ の距離 $d$ は
%
\begin{align*}
d
=
\sqrt{x^2+y^2}
\end{align*}
%
である。
%
比
%
正の数 $a$, $b$, $c$, $d$ について,
$\frac{a}{b}=\frac{c}{d}$ が成り立つとき,
$a:b=c:d$ とかき,
$a$, $b$ の\ommindex{比}{ひ}は $c$, $d$ の比に等しいという。
このとき,
$\frac{a}{b}$ を $a:b$ の\ommindex{比の値}{ひのあたい}という。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$m$, $n$ は正の数とする。
数直線上の2点 A, B に対して,
線分 AB 上にあって,
%
\begin{align*}
\text{AC}:\text{CB}=m:n
\end{align*}
%
が成り立つ点 C を,
線分 AB を $m:n$ に\ommindex{内分する点}{ないぶんするてん}という。
A, B の座標をそれぞれ $x_1$, $x_2$ とするとき,
AB を $m:n$ に内分する点 C の座標を $x_0$ とすれば,
$x_0$ は
%
\begin{align*}
x_0=\frac{mx_2+nx_1}{m+n}
\end{align*}
%
となる。
\item[(2)]
$m$, $n$ は $m\ne n$ を満たす正の数とする。
数直線上の2点 A, B に対して,
数直線上の 線分 AB の外側にあって,
%
\begin{align*}
\text{AC}:\text{CB}=m:n
\end{align*}
%
が成り立つ点 C を,
線分 AB を $m:n$ に\ommindex{外分する点}{がいぶんするてん}という。
$m>n$ のとき,
点 C は線分 AB を B の側に延長した直線上にあり,
$m<n$ のとき,
A の側に延長した直線上にある。
A, B の座標をそれぞれ $x_1$, $x_2$ とするとき,
AB を $m:n$ に外分する点 C の座標を $x_0$ とすれば,
$x_0$ は
%
\begin{align*}
x_0=\frac{mx_2-nx_1}{m-n}
\end{align*}
%
となる。
\end{enumerate}
%
図形の方程式
%
$f(x,y)=0$ を満たす平面上の点 P$(x,y)$ の全体を,
$f(x,y)=0$ の\ommindex{軌跡}{きせき}または
$f(x,y)=0$ が表す図形という。
平面上の図形が $f(x,y)=0$ の軌跡となっているとき,
$f(x,y)=0$ をこの\ommindex{図形の方程式}{ずけいのほうていしき}という。
%
直線
%
一般に,
$a$, $b$, $c$ が定数のとき,
平面上の\ommindex{直線}{ちょくせん}の方程式
%
\begin{align*}
ax+by+c=0
\end{align*}
%
である。
この直線を $\ell$ とする。
$b\ne 0$ のとき,
この式は
%
\begin{align*}
y=-\frac{a}{b}x-\frac{c}{b}
\end{align*}
%$
と変形することができる。
このとき,
$x$ の係数 $\displaystyle m=-\frac{a}{b}$ を
直線 $\ell$ の\ommindex{傾き}{かたむき},
定数項 $\displaystyle y_0=-\frac{c}{b}$ を
直線 $\ell$ の \ommindex{$\boldsymbol{y}$切片}{わいせっぺん}という。
%
円
%
平面上の定点 C$(a,b)$ からの距離が
一定値 $r$ である\ommindex{円}{えん}の方程式は
%
\begin{align*}
(x-a)^2+(y-b)^2=r^2
\end{align*}
%
である。
とくに,
原点を中心とする半径 $r$ の円の方程式は
%
\begin{align*}
x^2+y^2=r^2
\end{align*}
%
である。
%
不等式と領域
%
一般に,
不等式 $f(x,y)>0$,
$f(x,y)<0$,
$f(x,y)\ge 0$,
$f(x,y)\le 0$ が満たす点全体の集合は,
平面上の広がりをもった部分となる。
これを\ommindex{不等式が表す領域}{ふとうしきがあらわすりょういき}という。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
不等式 $y>2x+1$ が表す領域は直線 $y=2x+1$ より上側の部分,
$y<2x+1$ の表す領域は直線 $y=2x+1$ より下側の部分である。
\item[(2)]
不等式 $x^2+y^2<4$ が表す領域は円 $x^2+y^2=4$ の内部,
$x^2+y^2>4$ が表す領域は円 $x^2+y^2=4$ の外部である。
\item[(3)]
連立不等式 $\left\{\begin{array}{l}
y>2x+1
\\
x^2+y^2<4
\end{array}\right.$ が表す領域は,
$y>2x+1$,
$x^2+y^2<4$ のそれぞれが表す領域の共通部分であり,
円 $x^2+y^2=4$ の内部で直線 $y=2x+1$ より上にある点集合となる。
\end{enumerate}
%
%
応用例
- 蒸気の性質(6) 温度基準の飽和蒸気表 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
- 蒸気の性質(9) 内挿法 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
- 蒸気の性質(10) 状態変化と蒸気表 (熱力学 (V-A-4 熱流体))
- 吸着平衡定数と飽和吸着量 (直線の式) (化学工学)
- 活性化エネルギー (指数関数) (化学工学)
- レイノルズ数と摩擦係数 (べき関数) (化学工学)
- Mohrの応力円 (土質力学)
2次曲線
2次曲線
%
平面上の点 P から直線 $\ell$ に下ろした垂線と直線 $\ell$ との
交点を H とする。
$e$ を $0<e<1$ を満たす定数とするとき,
直線 $\ell$ と点 F に対して,
%
\begin{align*}
\frac{\text{PF}}{\text{PH}}=e
\end{align*}
%
を満たす曲線は
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$0<e<1$ のとき\ommindex{楕円}{だえん}
\item[(2)]
$e=1$ のとき\ommindex{放物線}{ほうぶつせん}
\item[(3)]
$e>1$ のとき\ommindex{双曲線}{そうきょくせん}
\end{enumerate}
%
という。
楕円,
放物線,
双曲線を総称して\ommindex{2次曲線}{2じきょくせん}という。
定数 $e$ を\ommindex{離心率}{りしんりつ}という。
2次曲線は別の定義の方法もある(以下の項目参照)が,
どちらも同じこととなる。
%
楕円
%
平面上の2点 F, F$'$ からの距離の和が一定である点の軌跡を
\ommindex{楕円}{だえん}といい,
F, F$'$ をその\ommindex{焦点}{しょうてん}という。
$a$, $c$ を $a>c$ を満たす正の定数とするとき,
焦点 F$(c,0)$, F$'(-c,0)$ からの距離の和が $2a$ であるような
楕円の方程式は
%
\begin{align*}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1
\quad
(a^2=b^2+c^2)
\end{align*}
%
となる。
これを\ommindex{楕円の標準形}{だえんのひょうじゅんけい}という。
%
双曲線
%
平面上の2点 F, F$'$ からの距離の差が一定である点の軌跡を
\ommindex{双曲線}{そうきょくせん}といい,
F, F$'$ をその\ommindex{焦点}{しょうてん}という。
$a$, $c$ を $c>a$ を満たす正の定数とするとき,
焦点 F$(c,0)$, F$'(-c,0)$ からの距離の差が $2a$ であるような
双曲線の方程式は
%
\begin{align*}
\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1
\quad
(c^2=a^2+b^2)
\end{align*}
%
となる。
また,
焦点 F$(0,c)$, F$'(0,-c)$ からの距離の差が $2a$ であるような
双曲線の方程式は
%
\begin{align*}
\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=-1
\quad
(c^2=a^2+b^2)
\end{align*}
%
となる。
これらを\ommindex{双曲線の標準形}{そうきょくせんのひょうじゅんけい}という。
%
放物線
%
平面上の直線 $\ell$ と点 F からの距離が等しい点の軌跡を
\ommindex{放物線}{ほうぶつせん}といい,
F をその\ommindex{焦点}{しょうてん},
直線 $\ell$ を\ommindex{準線}{じゅんせん}という。
$p$ を正の定数とするとき,
焦点 F$(p,0)$,
準線が $y=-p$ である放物線の方程式は
%
\begin{align*}
y^2=4px
\end{align*}
%
となる。
こらを\ommindex{放物線の標準形}{ほうぶつせんのひょうじゅんけい}という。
%
曲線の媒介変数表示
曲線の媒介変数表示
%
$x=f(t)$,
$y=g(t)$ $(\alpha\le t \le \beta)$ が変数 $t$ の関数であるとする。
$t$ の変化に伴って,
点 $(f(t),g(t))$ が曲線 C を描くとき,
関数の組
%
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{l}
x=f(t)
\\
y=g(t)
\end{array}\right.
\quad
(\alpha\le t \le \beta)
\end{align*}
%
を,
$\alpha\le t \le \beta$ を定義域とする
曲線 C の\ommindex{媒介変数表示}{ばいかいへんすうひょうじ}という。
このとき,
変数 $t$ を\ommindex{媒介変数}{ばいかいへんすう}
または\ommindex{パラメータ}{ぱらめーた}という。
%
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$\left\{\begin{array}{l}
x=at+x_{0}
\\
y=bt+y_{0}
\end{array}\right.$ は,
傾きが $\displaystyle \frac{b}{a}$ で,
点 $\left(x_{0}, y_{0}\right)$ を通る直線の媒介変数表示である。
\item[(2)]
$\left\{\begin{array}{l}
x=r\cos{t}+a
\\
y=r\sin{t}+b
\end{array}\right.\ (0\le t \le \pi)$ は,
点 $(a,b)$ を中心として,
半径が $r$ の円の媒介変数表示である。
\end{enumerate}
サイクロイド
%
直線上を円が滑らずに転がるとき,
円周上の点 P が描く軌跡を\ommindex{サイクロイド}{さいくろいど}という。
半径 $a$ の円が $x$ 軸上を滑らずに転がるとき,
$t=0$ において原点にあった点が描くサイクロイドの媒介変数表示は
%
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{l}
x=a(t-\sin{t})
\\
y=a(1+\cos{t})
\end{array}\right.
\end{align*}
%
である。
%
%=video:/media/2014/07/29/140662802622620400.jpg:
アステロイド
%
半径 $a$ の固定された円の内部を,
半径が $\displaystyle \frac{a}{4}$ の円が,
円に内接しながら滑らずに回転するとき,
円周上の点 P が描く軌跡を\ommindex{アステロイド}{あすてろいど}という。
原点を中心とした半径 $a$ の円の内部を転がる
半径 $\displaystyle \frac{a}{4}$ の円周上の,
$t=0$ において $(a,0)$ にあった点が描くアステロイドの媒介変数表示は
%
\begin{align*}
\left\{\begin{array}{l}
x=a\cos^3{t}
\\
y=a\sin^3{t}
\end{array}\right.
\end{align*}
%
である。
%
%=video:/media/2014/08/01/140682098043159600.jpg:
極座標
極座標
%
角 $\theta$ に対する動径と,
原点を中心とする半径 $r$ との交点 P の位置を,
$(r,\theta)$ と表すとき,
これを点 P の\ommindex{極座標}{きょくざひょう}という。
極座標が定められた平面を
\ommindex{極座標平面}{きょくざひょうへいめん}といい,
極座標平面では原点を\ommindex{極}{きょく},
$x$ 軸の正の部分を\ommindex{始線}{しせん}という。
%
極方程式
%
極座標平面上の点 P$(r,\theta)$において,
$r$ が$\theta$ の関数として $r=f(\theta)$ と表されているとする。
このとき,
$\theta$ の値が変化すると,
点 P$(r,\theta)$ の原点からの距離 $\text{OP}=r$ が変化し,
点 P は平面上の曲線を描く。
$r=f(\theta)$ をこの曲線の
\ommindex{極方程式}{きょくほうていしき}という。
より一般に,
ある曲線上の点が満たす条件を $r$ と $\theta$ の
関係式として表したものも含めて極方程式という。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
原点を中心とする半径 $a$ の円の極方程式は
$r=a$ である。
\item[(2)]
原点Oを始点とし
始線 OX となす角が $\alpha$ であるような半直線の極方程式は
$\theta =\alpha$ である。
\end{enumerate}
%
%
螺旋
%
$f(\theta)$ が $f(\theta)$ を満たす単調関数であるとき,
極方程式 $r=f(\theta)$ が表す曲線は,
回転とともに極からの距離が増加または減少し続けていく。
このような性質をもつ曲線を\ommindex{螺旋}{らせん}という。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$a$, $b$ を $a\ge 0$,
$b\ge 0$ を満たす定数とするとき,
極方程式 $r=a+b\theta$ $(\theta\ge 0)$ で表される
曲線を\ommindex{アルキメデスの螺旋}{あるきめですのらせん}という。
\item[(2)]
$a$, $b$ が正の定数のとき,
極方程式 $r=a e^{b\theta}$ で表される螺旋を
\ommindex{等角螺旋}{とうかくらせん}
または\ommindex{対数螺旋}{たいすうらせん}という。
等角螺旋 C 上の点を P とすると,
P における C の接線と,
動径 OP のなす角は常に一定である。
\end{enumerate}
%
次の図はアルキメデスの螺旋 $r=1+\theta$ および等角螺旋 $1+e^{\frac{\theta}{\,2\,}}$ である。
%=video:/media/2014/08/02/140690733898074100.jpg:
%=video:/media/2014/08/02/140690733904091700.jpg:
カージオイド
%
$a$を正の定数とする。
半径が $a$ である円 C の外部を,
同じ大きさの円 C$_0$ が滑らずに1周するとき,
円周上の点 P が描く図形を\ommindex{カージオイド}{かーじおいど}
または\ommindex{心臓形}{しんぞうけい}という。
円 C が極座標で $(a,0)$ を中心とする半径 $a$ の円であり,
出発点において,
円 C$_0$ の中心が $(3a,0)$,
点 P が $(4a,0)$ の位置にあるとき,
点が P 描くカージオイドの極方程式は
%
\begin{align*}
r=2a(1+\cos{\theta})
\end{align*}
%
となる。
%
%=video:/media/2014/08/02/140690861103644300.jpg: