例題集

ふく射伝熱(4) 平行平板間のふく射

適用レベル   難易度: ★★★
温度$T_1=700 \,\rm{K}$,ふく射率$\varepsilon_1=0.4$のステンレス製の平面壁と,温度$T_2=350\,\rm{ K}$,ふく射率$ε_2=0.9$のガラス製の平面壁が平行に置かれている. ステンレス壁からガラス壁へのふく射熱流束を求めよ. ただし,ふく射率と吸収率は等しいものとし,各壁の間隔は比較的小さいものとする.
図を参考に考える. ふく射率と吸収率はともに$\varepsilon$であり透過率は$0$であるから,反射率は$1-\varepsilon$となる. ステンレス壁から放出される熱流束$q_1$は,それ自体からのふく射熱流束$E_1$とガラス壁からの熱流束$q_2$を反射した分の合計となるので, \[\begin{align} q_1&= E_1+ (1−\varepsilon_1)q_2\\ &= \varepsilon_1\sigma T_1^ 4+ (1−\varepsilon_1)q_2 \hspace{30px}\cdots(1) \end{align}\] 同様にガラス壁から放出される熱流束$q_2$は, \[\begin{align} q_2&= E_2+ (1−\varepsilon_2)q_1\\ &= \varepsilon_2\sigma T_2^4+ (1−ε_2)q_1\hspace{30px}\cdots(2) \end{align}\] 式$(1)$と式$(2)$を連立して,$q_1$ ,$q_2$について解くと, \[ q_1=\frac{E_1+(1-\varepsilon_1)E_2}{1-(1-\varepsilon_1)(1-\varepsilon_2)} \] \[ q_2=\frac{E_2+(1-\varepsilon_2)E_1}{1-(1-\varepsilon_1)(1-\varepsilon_2)} \] 以上により,ステンレス壁からガラス壁へ伝わる正味の熱流束は,$q_1$と$q_2$の差に等しいので, \[\begin{align} q&= q_1−q_2\\ &=\frac{\varepsilon_1\varepsilon_2\sigma(T_1^4-T_2^4)}{1-(1-\varepsilon_1)(1-\varepsilon_2)}\\ &=\frac{\sigma(T_1^4-T_2^4)}{\frac{1}{\varepsilon_1}+\frac{1}{\varepsilon_2}-1}\\ &=\frac{5.67\times10^{-8}(700^4-350^4)}{\frac{1}{0.4}+\frac{1}{0.9}-1}\\ &=4.89\times10^3\,\rm{W/m^2}\\ &=4.89\,\rm{kW/m^2} \end{align}\] %=image:/media/2015/01/15/142125755345395600.png: