数学・工学事典

複素数

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複素数

% $x^2=-1$ を満たす数を $i$ と表し, これを\ommindex{虚数単位}{きょすうたんい}という。 虚数単位を含む数 % \[ z=a+ib \quad (\mbox{$a$, $b$ は実数。$a+bi$ とかく場合もある}) \] % を\ommindex{複素数}{ふくそすう}といい, $a$ を $z$ の\ommindex{実部}{じつぶ}, $b$ を $z$ の\ommindex{虚部}{きょぶ}という。 $z$ の実部を $\textrm{re}{z}$, 虚部を $\textrm{im}{z}$ と表す。 $a+i0$, $0+ib$ はそれぞれ $a$, $ib$ と表す。 実数 $a$ は $a+i0$ の形の複素数である。 % $a+ib=0$ となるのは $a=b=0$ の場合だけである。 複素数 $a+ib$ は $b\ne 0$ のとき\ommindex{虚数}{きょすう}, $a=0$, $b\ne 0$ のとき\ommindex{純虚数}{じゅんきょすう}という。 %

共役複素数

% 複素数 $z=a+ib$ に対して, $a-ib$ を $z$ の\ommindex{共役複素数}{きょうやくふくそすう}といい, $\overline{z}$ で表す。 %

複素平面

% 座標平面上の点 $(a,b)$ に複素数 $z=a+ib$ を対応させた平面を \ommindex{複素平面}{ふくそへいめん}または \ommindex{ガウス平面}{がうすへいめん}という。 複素平面の $x$ 軸上の点 $(a,0)$ には実数 $a$, $y$ 軸上の点 $(0,b)$ には純虚数 $ib$ が対応している。 このため, $x$ 軸を\ommindex{実軸}{じつじく}, $y$ 軸を\ommindex{虚軸}{きょじく} という。 %

複素数の絶対値

% 複素数 $z=a+ib$ に対して, $\sqrt{a^2+b^2}$ を複素数 $z$ の\ommindex{絶対値}{ぜったいち2}といい, $\left|z\right|$ で表す。 $\left|z\right|$ は複素平面上の原点 O と点 $z$ の距離である。 任意の複素数 $z$, $w$ に対して, 次の不等式が成り立つ。 % \begin{align*} \left|z\right|-\left|w\right| \le \left|z+w\right| \le \left|z\right|+\left|w\right| \end{align*} % これを\ommindex{三角不等式}{さんかくふとうしき}という。 %

複素数の偏角

% $0$ でない複素数 $z=a+ib$ に対して, $r=\left|z\right|$ とするとき, % \[ \cos{\theta}=\dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}=\dfrac{a}{\,r\,}, \quad \sin{\theta}=\dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}=\dfrac{b}{\,r\,} \] % を満たす $\theta$ を 複素数 $z$ の\ommindex{偏角}{へんかく}といい, $\arg{z}$ で表す。 $z=0$ のとき, $z$ の偏角は任意とする。 %

複素数の極形式

% 複素数 $z=a+ib$ の絶対値を $r$, 偏角を $\theta$ とするとき, $z$ は % \[ z=r(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \] % と表すことができる。 これを $z$ の\ommindex{極形式}{きょくけいしき}という。 極形式で表された2つの複素数 $z_1=r_1(\cos{\theta_1}+i\sin{\theta_1})$, $z_2=r_2(\cos{\theta_2}+i\sin{\theta_2})$ について, % \[ z_1z_2 = r_1r_2\{\cos{(\theta_1+\theta_1)}+i\sin{(\theta_1+\theta_1)}\}, \quad \dfrac{z_1}{z_2} =\dfrac{r_1}{r_2}\{\cos{(\theta_1-\theta_1)}+i\sin{(\theta_1-\theta_1)}\} \] % が成り立つ。 これらの式は次のように表すことができる。 % \begin{enumerate} \item $\left|z_1z_2\right|=\left|z_1\right|\left|z_2\right|$,    $\arg(z_1z_2)=\arg{z_1}+\arg{z_2}$ \item $\left|\dfrac{z_1}{z_2}\right| = \dfrac{\left|z_1\right|}{\left|z_2\right|}$,    $\arg{\dfrac{z_1}{z_2}}=\arg{z_1}-\arg{z_2}$ \end{enumerate} %

ド・モアブルの公式

% $n$ を整数とするとき, 極形式で表された複素数 $\cos{\theta}+i\sin{\theta}$ について, 次が成り立つ。 % \[ (\cos{\theta}+i\sin{\theta})^n=\cos{n\theta}+i\sin{n\theta} \] % これを\ommindex{ド・モアブルの公式}{どもあぶるのこうしき}という。 %