微分法の応用
接線
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関数 $y=f(x)$ は $x=a$ を含む開区間 I で微分可能であるとする。
直線
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\begin{align*}
\ell\,:\,y=f'(a)(x-a)+f(a)
\end{align*}
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を,
$y=f(x)$ のグラフ上の点 A$(a,f(a))$ における
\ommindex{接線}{せっせん}といい,
点 A を\ommindex{接線}{せっせん}という。
また,
直線 $\ell$ は点 A において $y=f(x)$ のグラフに
\ommindex{接する}{せっする}という。
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関数の増減
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関数 $y=f(x)$ が
区間 I の任意の点 $x_1$, $x_2$ $(x_1<x_2)$ に対して,
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
$f(x_1)<f(x_2)$ であるとき,
区間 I で\ommindex{単調増加}{たんちょうぞうか}
\item[(2)]
$f(x_1)>f(x_2)$ であるとき,
区間 I で\ommindex{単調減少}{たんちょうげんしょう}
\end{enumerate}
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であるという。
単調増加である関数は\ommindex{増加関数}{ぞうかかんすう},
単調減少である関数は\ommindex{減少関数}{げんしょうかんすう}という。
$f(x)$ が単調増加または単調減少であるとき,
\ommindex{単調}{たんちょう}であるという。
$y=f(x)$ が微分可能であるとき,
その導関数と増減の関係は次のようになる。
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
区間 I で $f'(x)>0$ ならば,
$f(x)$ は I で単調増加
\item[(2)]
区間 I で $f'(x)<0$ ならば,
$f(x)$ は I で単調減少
\end{enumerate}
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関数 $y=f(x)$ が $x=a$ で減少から増加に変わるとき,
$f(x)$ は $x=a$ で\ommindex{極小}{きょくしょう}であるといい,
$f(a)$ を\ommindex{極小値}{きょくしょうち}という。
また,
関数 $y=f(x)$ が $x=a$ で増加から減少に変わるとき,
$f(x)$ は $x=a$ で\ommindex{極大}{きょくだい}であるといい,
$f(a)$ を\ommindex{極大値}{きょくだいち}という。
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関数の凹凸
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関数 $y=f(x)$ が
区間 I の任意の点 $x_1$, $x_2$ $(x_1<x_2)$ に対して,
$x\in \text{I}$ ならば
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
$f(x)<\displaystyle \frac{f(x_2)-f(x_1)}{x_2-x_1}(x-x_1)+f(x_1)$ であるとき,
区間 I で\ommindex{下に凸}{したにとつ}
\item[(2)]
$f(x)>\displaystyle \frac{f(x_2)-f(x_1)}{x_2-x_1}(x-x_1)+f(x_1)$ であるとき,
区間 I で\ommindex{上に凸}{うえにとつ}
\end{enumerate}
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であるという。
定義から,
関数 $y=f(x)$ が区間 I で下に凸であるとき,
区間上の2点を結ぶ線分より $y=f(x)$ のグラフは下側にある。
また,
関数 $y=f(x)$ が区間 I で上に凸であるとき,
区間上の2点を結ぶ線分より $y=f(x)$ のグラフは上側にある。
$y=f(x)$ が2回微分可能で2階導関数 $f''(x)$ が連続であるとき,
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
区間 I で $f'{}'(x)>0$ ならば $f(x)$ は I で下に凸
\item[(2)]
区間 I で $f'{}'(x)<0$ ならば $f(x)$ は I で上に凸
\end{enumerate}
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である。
関数が下に凸, 上に凸の状態を関数の\ommindex{凹凸}{おうとつ}という。
関数 $y=f(x)$ が $x=a$ で下に凸から上に凸または
上に凸から下に凸に変わるとき,
点 $(a,f(a))$ を\ommindex{変曲点}{へんきょくてん}であるという。
点 $(a,f(a))$ が $y=f(x)$ の変曲点であるとき,
$f'{}'(a)=0$ である。
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位置・速度・加速度
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$x$ 軸上を運動する点 P があり,
時刻 $t$ における点 P の位置が $x=f(t)$ で表されているとする。
$f(t)$ が微分可能であるとき,
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\begin{align*}
v(t)=\frac{dx}{dt}
\end{align*}
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を点 P の\ommindex{速度}{そくど}といい,
速度の大きさ
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\begin{align*}
s(t)=\left|v(t)\right|=\left|\frac{dx}{dt}\right|
\end{align*}
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を\ommindex{速さ}{はやさ}という。
さらに,
$f(t)$ が2回微分可能であるとき,
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\begin{align*}
a(t)=\frac{dv}{dt}=\frac{d^2{x}}{dt^2}
\end{align*}
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を点 P の\ommindex{加速度}{かそくど}という。
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応用例
- 軌道半径 (物理化学)
- ふく射伝熱(1) ふく射の基本法則 (伝熱工学(V-A-4 熱流体))
- 滞留時間分布関数の最大値 (反応工学)
- 多段CSTRのステップ応答のグラフ (反応工学)
- 速度と加速度 (工業力学(V-A-3 力学))
- 力と運動の法則 (工業力学(V-A-3 力学))
- 流体の静力学(6) タンク内圧力 (流れ学 (V-A-4 熱流体))
- 流体の動力学(6) オイラーの運動方程式とベルヌーイの定理 (流れ学 (V-A-4 熱流体))
- 一自由度系の振動(6) (機械力学(V-A-3 力学))