確率
確率
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「さいころを1回投げたとき,
出る目はいくつか」,
「1枚の硬貨を2回投げたとき,
表は何回出るか」
「直線の真上からボールを落とすとき,
ボールはどこに落ちるか」など,
結果に注目して行う行為を\ommindex{試行}{しこう}という。
試行の結果として起こりうることがらを
\ommindex{事象}{じしょう}という。
試行の結果,
事象 $A$ の起こりやすさを,
$0$ から $1$ までの数値で表したものを\ommindex{確率}{かくりつ}という。
$A$ が起こる確率を $P(A)$ で表すとき,
$P(A)=0$ であれば「事象 $A$ は起こることがない」,
$P(A)=1$ であれば「事象 $A$ は必ず起こる」ことを意味する。
2つの事象 $A$, $B$ に対して,
$A$ または $B$ のどちらかが起こるという事象を $A$ と $B$ の
\ommindex{和事象}{わじしょう}といい,
$A\cup B$ で表す。
すべての事象の和事象は,
起こりうることがらのうちどれかが起こるという事象であり,
これを\ommindex{全事象}{ぜんじしょう}という。
全事象を $\Omega$ で表すとき,
$P(\Omega)=1$ である。
また,
$A$ と $B$ が同時に起こるという事象を $A$ と $B$ の
\ommindex{積事象}{せきじしょう}といい,
$A\cap B$ で表す。
$A$ と $B$ が同時に起こることがないとき,
これらは互いに\ommindex{排反}{はいはん}である,
または,
$A$ と $B$ は\ommindex{排反事象}{はいはんじしょう}であるという。
このとき,
事象 $A\cap B=\phi$ と表し,
$\phi$ を\ommindex{空事象}{くうじしょう}という。
$P(\phi)=0$ である。
事象 $A$ に対して,
$A$ で以外のことが起こるという事象を $A$ の
\ommindex{余事象}{よじしょう}といい,
$\overline{A}$ で表す。
全事象,
空事象,
余事象 について,
次の性質が成り立つ。
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\begin{align*}
\overline{\Omega}=\phi,
\overline{\phi}=\Omega,
A\cap\overline{A}=\phi,
A\cup\overline{A}=\Omega
\end{align*}
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確率の性質
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確率は次の性質をもつ。
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
任意の事象 $A$ に対して $0\le P(A)\le 1$ である。
\item[(2)]
$P(\Omega)=1$,
$P(\phi)=0$
\item[(3)]
任意の事象 $A$,
$B$ について
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\begin{align*}
P(A\cup B)=P(A)+P(B)-P(A\cap B)
\end{align*}
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である。
とくに,
$A$,
$B$ が互いに排反であるとき,
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\begin{align*}
P(A\cup B)=P(A)+P(B)
\end{align*}
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が成り立つ。
この性質を確率の\ommindex{加法定理}{かほうていり}という。
\item[(4)]
任意の事象 $A$ に対して $P(\overline{A})=1-P(A)$ である。
\end{enumerate}
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条件付き確率
事象 $A$ が $P(A)\ne 0$ を満たすとき,
$A$ が起こったという条件の下に事象 $B$ が起こる確率を
\ommindex{条件付き確率}{じょうけんつきかくりつ}といい,
$P_{A}(B)$ と表す。
2つの事象 $A$, $B$ が $P(A)\ne 0$,
$P(A)\ne 0$ を満たすとき,
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\begin{align*}
P(A\cap B)=P(A)P_{A}(B)=P(B)P_{B}(A)
\end{align*}
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が成り立つ。
この性質を確率の\text{乗法定理}{かほうていり}という。
とくに,
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\begin{align*}
P(A\cap B)=P(A)P(B)
\end{align*}
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が成り立つとき,
事象 $A$, $B$ は互いに\ommindex{独立}{どくりつ}であるという。
$A$, $B$ が互いに独立であるということは,
事象 $A$ が起こるかどうかが事象 $B$ が起こる確率に
影響を与えないことを意味する。
反復試行の確率
何回かの試行を行うとき,
それぞれの回の試行の結果が他の回の試行の結果に影響を与えないとき,
この試行は\ommindex{独立}{どくりつ}である,
または,
この試行を\ommindex{独立試行}{どくりつしこう}であるという。
$A$ を独立試行の事象であるとし,
$P(A)=p$ とするとき,
この試行を $n$ 回行ったとき事象 $A$ が $k$ 回起こる確率を $p_k$ とすると
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\begin{align*}
p_k={}_{n}\text{C}_{k}p^k(1-p)^{n-k}
(0\le k\le n)
\end{align*}
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が成り立つ。
この確率を\ommindex{反復試行の確率}{はんぷくしこうのかくりつ}という。