質量 $m$ の物体を,
崖の上から水平に速さ $v_0$ で投げた.
投げた地点を原点とし,
初速度の方向に $x$ 軸,
鉛直下向きに $y$ 軸をとる.
重力加速度の大きさを $g$,
投げた時の時刻を $0$ とすると,
時刻 $t$ での物体の $x$ 座標 $x(t)$ と $y$ 座標 $y(t)$ は
$t$ の関数として次のように表される
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\begin{align*}
x(t) = v_0 t, & y(t) = \frac{1}{2} g t^2.
\end{align*}
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以下の問いに答えよ.
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
時刻 $t$ における
運動量 $\vt{p}$ の $x$ 成分 $p_x$ と $y$ 成分 $p_y$ を求めよ.
\item[(2)]
時刻 $0$ から時刻 $t$ の間に生じた運動量の変化が,
受けた力積に等しいことを証明せよ.
\end{enumerate}
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解答例・解説
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\begin{enumerate}
\item[(1)]
運動量$\vt{p}$は,速度ベクトルを $\vt{v}$ と表すと
$\vt{p} = m \vt{v}$と定義される.
ここで与式より,
$\vt{v}$ の $x$ 成分 $v_x$ と $y$ 成分 $v_y$ は
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\begin{align*}
v_x &= x'(t) = (v_0 t)' = v_0,
\\
v_y &= y'(t) = \left(\frac{1}{2} gt^2\right)' = gt
\end{align*}
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と求まるので
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\begin{align*}
p_x &= m v_x = m v_0,
\\
p_y &= m v_y = m g t.
\end{align*}
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\item[(2)]
時刻 $0$ での運動量を $\vt{p}_0$ とおくと,
$\vt{p}_0 = m (v_0, 0) = (mv_0, 0)$と成分表示できる.
その結果,
前問の結果とあわせると,
運動量の変化 $\Delta \vt{p}$ は
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\begin{equation}
\Delta \vt{p} = \vt{p} - \vt{p}_0 = (m v_0, mgt) - (m v_0, 0) = (0, mgt)
\quad \cdots \cdots \maru{1}
\end{equation}
%
となる.
一方,
物体が受ける力$\vt{F}$は重力であり,
$\vt{F} = (F_x, F_y) = (0, mg)$ と成分表示できる.
このとき,受けた力積$\vt{I} = (I_x, I_y)$は
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\begin{align*}
I_x &= \int_0^t F_x \,dt = 0,\\
I_y &= \int_0^t F_y \,dt = \int_0^t mg \,\,dt =
\Bigl[mgt\Bigr]^t_0 = mgt,
\end{align*}
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と求まり,受けた力積$\vt{I}$は
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\begin{equation}
\vt{I} = (0, mgt)
\quad \cdots \cdots \maru{2}
\end{equation}
となる.
\maru{1} と \maru{2} 式より,
$\Delta \vt{p} = \vt{I}$,
すなわち
運動量の変化と受けた力積は等しい.
\end{enumerate}