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例題集 / 建築 / 建築環境工学 / 音環境

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難易度

残響時間(Sabineの式)

知識・記憶レベル   難易度:
内寸が W: 10,D: 15,H: 5 $\left[\textrm{m}\right]$ の室の残響時間をSabineの式により求めよ。ただし,室の平均吸音率 $\overline{α}$ は0.24とする。

解答例・解説

Sabineの残響式は以下の様に定義される。 % \begin{align*} T=K\frac{V}{A} \end{align*} % ここで,$T$ は残響時間$\left[\textrm{s}\right]$ であり,$K$ は定数(常温時0.162),$V$ は室容積,$A$ は吸音力(=室表面積×吸音率)である。 したがって, % \begin{align} &V= 10 × 15 × 5 = 750 \\ &A= \{10 × 15 × 2 + (10 +15) × 2 × 5\} × 0.24 = 132 \end{align} であるから, % \begin{align*} T=0.162\frac{750}{132} \approx 0.92 \left[\textrm{s}\right] \end{align*} % となる。

点音源の伝搬

知識・記憶レベル   難易度:
無指向性の点音源から音響出力 $W=0.01\ \left[\textrm{W}\right]$ の音が発せられたときの、距離 $r=5\ \left[\textrm{m}\right]$ 地点での音響インテンシティレベル $L_I$ を求めよ。ただし、障害物等による反射の影響はないものとしてよい。

解答例・解説

音の強さ $I\ \left[\textrm{W/m}{}^2\right]$とは、単位面積を単位時間当たりに通過する音のエネルギーのことであるから、点音源の場合は音源から球状に音が伝わることを考えて、出力 $W\ \left[\textrm{W}\right]$ を半径 $r\left[\textrm{m}\right]$ の球の表面積で割って、 \begin{equation} I = \frac{W}{4\pi r^2} \tag{$1$} \end{equation} と定義される。 ここで、音の強さをレベルで表した音響インテンシティレベル $L_I \left[\textrm{dB}\right]$は、基準の音の強さ $I_0=10^{-12} \left[\textrm{W/m}{}^2\right]$ と対数を使って \begin{equation} L_I =10\log_{10} \frac{I}{10^{-12}} \tag{$2$} \end{equation} で定義されるため、$(2)$式に $(1)$式を代入して \begin{equation} L_I =10\log_{10} \frac{W}{10^{-12}\centerdot 4\pi r^2} \approx10\log_{10} \frac{W}{10^{-12}} -11 - 20\log_{10}r \end{equation} であり、$W$ と $r$ にそれぞれ0.01と5を代入して \begin{equation} L_I \approx75 \left[\textrm{dB}\right] \end{equation} が得られる。

指向性の計算

理解レベル   難易度: ★★
自由音場にある出力 $P$ $\left[\textrm{W}\right]$ の音源から特定方向に向けて発せられた音が$r$ $\left[\textrm{m}\right]$ の地点で $L$ $\left[\textrm{dB}\right]$であった。この音源から特定方向への指向係数 $Q$はいくらか。

解答例・解説

指向係数 $Q$ は、音源の音響インテンシティ $I_m$ に対する受音点の音響インテンシティ $I$ の割合であり、 % \begin{equation} Q=\frac{I}{I_m} \end{equation} % で与えられる。 ここで、点音源とした音源の音響インテンシティ $I_m$ は受音点までの距離を$r$ $\left[\textrm{m}\right]$ とすれば、 % \begin{equation} I_m=\frac{P}{4\pi r^2} \end{equation} % であり、 受音点の音圧レベルを $L$ $\left[\textrm{dB}\right]$ とすれば、受音点の音響インテンシティ $I$との関係は、 % \begin{equation} L=10\log_{10}\frac{I}{10^{-12}} \end{equation} % であるから、 % \begin{equation} I=10^{\frac{L}{10}} \times10^{-12}=10^{\frac{L}{10} -12} \end{equation} % となる。したがって、指向係数 $Q$は % \begin{equation} Q=\frac{10^{\frac{L}{10} -12}}{\frac{P}{4\pi r^2}} \end{equation} % となる。

無限長線音源の計算

知識・記憶レベル   難易度: ★★
常に車の通行が絶えない道路から $r\ \left[\textrm{cd}\right]$ 離れた受音点 $A$ の音のレベルが $L_A$ $\left[\textrm{m}\right]$だったとすると音源 $L_W$は何 $\left[\textrm{dB}\right]$ とみなせるか。

解答例・解説

まず、常に車の通行が絶えない道路という条件設定から,無限長の線音源であることを認識する。 したがって、音響インテンシティ $I$ と音源の出力 $W$ および音源から受音点までの距離 $r$ との関係は \begin{equation} I = \frac{W}{2\pi r} \tag{$1$} \end{equation} となるため、これをレベルに変換して \begin{equation} L_I \approx L_W -8 - 10\log_{10}r  \tag{$2$} \end{equation} となり、$I$ を $A$ に置き換えて \begin{equation} L_W\approx L_A + 8 + 10\log_{10}r  \tag{$3$} \end{equation} を解く。

音響透過損失(室間)

知識・記憶レベル   難易度: ★★
隣り合う2つの同じ部屋(表面積 240 $\left[\textrm{$m^2$}\right]$,平均吸音率 0.2)の間仕切り壁(30 $\left[\textrm{$m^2$}\right]$)の音響透過損失を求めよ。ただし,音源室側の音圧レベル $L_1$ は70 $\left[\textrm{dB}\right]$であり、受音室側の音圧レベル $L_2$ は 50 $\left[\textrm{dB}\right]$ とする。

解答例・解説

壁の音の透過率を $τ$としたときの音響透過損失を $R$ とすれば \begin{equation} R =10\log_{10} \frac{1}{τ} \tag{$1$} \end{equation} で表される。これを踏まえて、室間の音圧レベル差は受音室側の吸音力を $A$ 、壁の面積を $F$ とすれば \begin{equation} L_1 - L_2 =R + 10\log_{10} \frac{A}{F} \tag{$2$} \end{equation} となる。 したがって、 \begin{equation} 70 - 50 =R + 10\log_{10} \frac{240 \times 0.2}{30} \end{equation} を解いて、 となる。 したがって、 \begin{equation} R \approx 16.2 \left[\textrm{dB}\right] \end{equation} を得る。

音響透過損失(外から内)

知識・記憶レベル   難易度: ★★
音圧レベル 75 $\left[\textrm{dB}\right]$の外部音 $L_1$ が室内へ垂直入射した時の透過損失 $R$ を求めよ。ただし、室内の音圧レベル $L_2$ は 55 $\left[\textrm{dB}\right]$、音が入射する壁の面積 $F$ は 24 $\left[\textrm{m}{}^2\right]$、室内の吸音力 $A$(等価吸音面積)は10 $\left[\textrm{m}{}^2\right]$とする。

解答例・解説

自由音場からの音の入射とと室内の入射音のエネルギの関係は \begin{equation} τFcE_1 = \frac{AcE_2}{4} \tag{$1$} \end{equation} となるため、レベルに変換して \begin{equation} L_1 - L_2 =R + 10\log_{10} \frac{A}{F} - 6 \tag{$2$} \end{equation} で表される。 従って、 % \begin{align} R &= L_1 - L_2 - 10\log_{10} \frac{A}{F} + 6 \\ &= 75 -55- 10\log_{10} \frac{24}{10} + 6 \\ & \approx 22.2 \left[\textrm{dB}\right] \end{align} を得る。

総合透過損失

知識・記憶レベル   難易度:
RC造の外壁面積 $F$ $\left[\textrm{m}{}^2\right]$ のうちガラス窓面積が S $\left[\textrm{m}{}^2\right]$ あり、それぞれの透過損失が $R_F$ $\left[\textrm{dB}\right]$ と $R_S$ $\left[\textrm{dB}\right]$ である。その窓を $d$ $\left[\textrm{m}{}^2\right]$ だけ開放したときの総合透過損失は何 $\left[\textrm{dB}\right]$ になるか導け。

解答例・解説

総合音響透過損失 $\overline{R}$ は \begin{equation} \overline{R} = 10 \log_{10} \frac{1}{\overline{τ}} \tag{$1$} \end{equation} で表される。ここで、開口部 $d$ の透過率は 100 $\%$であることも考慮して \begin{align} \overline{τ} = \frac{(F-S)\times 10^{-R_F/10}+(S-d) \times 10^{-R_S/10}+d\times 1.0}{F} \tag{$2$} \end{align} より、(2)式を(1)式に代入して解を得る。

等価騒音レベルの計算

知識・記憶レベル   難易度:
1秒ごとの騒音レベルが40、50、60、70、80 $\left[\textrm{dB}\right]$ であった時の5秒間の等価騒音レベル $L_{Aeq,5s}$を求めなさい。四捨五入して小数点1桁まで計算せよ。

解答例・解説

$T$ 秒間の等価騒音レベル $L_{Aeq,T}$ は \begin{equation} L_{Aeq,T} =10 \log_{10}[\frac{1}{T}\sum_{i=1}^{n} 10^{\frac{L_i}{10}}] \end{equation} で表される。 したがって、 % \begin{align} L_{Aeq,5s} &= 10 \log_{10}[\frac{1}{5}(10^{\frac{40}{10}}+10^{\frac{50}{10}}+10^{\frac{60}{10}}+10^{\frac{70}{10}}+10^{\frac{80}{10}})] \\ &\approx 73.5 \left[\textrm{dB}\right] \end{align} % を得る。

共鳴周波数の計算(ヘルムホルツ共鳴器)

適用レベル   難易度:
常温時における次の形状をしたヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を求めなさい。 %=image:/media/2015/01/05/142046740673522000.png:ヘルムホルツ共鳴器

解答例・解説

常温時の音速は一般的に 340 $\left[\textrm{m/s}\right]$ である。 また直径 $d$ $\left[\textrm{$m$}\right]$、断面積 $s$ $\left[\textrm{m}{}^2\right]$、長さ $l$ $\left[\textrm{m}\right]$ のネック部を持つ容積 $V$ $\left[\textrm{m}{}^3\right]$ のヘルムホルツ共鳴器による共鳴周波数 $f$ は \begin{equation} f = \frac{340}{2π}\sqrt\frac{s}{V(l + 0.8d)} \tag{$1$} \end{equation} で得られるから、 図中の寸法を式(1)に代入して \begin{equation} f \approx 36.5 \left[\textrm{dB}\right] \end{equation} を得る。

単層壁の音響透過損失

知識・記憶レベル   難易度:
実際の音場における 2000 $\left[\textrm{Hz}\right]$ の音に対する面密度 40 $\left[\textrm{kg/m}{}^2\right]$の壁の透過損失 $R$ を求めよ。

解答例・解説

壁の面密度 $m$ は壁の単位面積当たりの質量のことであり、その壁に垂直に入射する音の透過損失 $R_0$ $\left[\textrm{dB}\right]$ は音の周波数 $f$ $\left[\textrm{Hz}\right]$ との関係で表すと \begin{equation} R_0 \approx 20 \log_{10} {fm} - 43 \tag{$1$} \end{equation} となる。 さらに、実際の音場という条件から \begin{equation} R \approx R_0 - 5 \tag{$2$} \end{equation} となるため、 \begin{align} R \approx 20 \log_{10} {fm} - 48=20 \log_{10} {(2000×40)} -48 \approx50.1 \left[\textrm{dB}\right] \end{align} を得る。