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例題集 / 機械 / 伝熱工学(V-A-4 熱流体) / 対流熱伝達
対流熱伝達 (1) 無次元数
理解レベル
難易度: ★★
次の文章の$(\ 1\ )\sim(\ 10\ )$内に入れるべき適切な式或いは語句を下の選択肢から選び,記号で答えよ.
①
レイノルズ数$Re$は,流体の流動状態に関係する無次元数で$(\ 1\ )$で定義される.
円管内の流れの場合,$Re\le2300$であれば,流れは$(\ 2\ )$状態と判定できる.
②
プランドル数$Pr$は,$(\ 3\ )$で定義される無次元数で,流体の運動量拡散と熱拡散特性の相対比を意味する.
粘性流体の運動方程式とエネルギー方程式の形式が同じであるため,流体温度と異なる温度の物体が流れ場に置かれた場合,物体表面近傍に形成される$(\ 4\ )$と$(\ 5\ )$の相対関係を支配する.
すなわち,$Pr=1$の場合,両者は一致し,$Pr>1$の場合は$(\ 4\ )$の厚みは$(\ 5\ )$の厚みより大きくなる.
③
ビオ数$Bi$は$(\ 6\ )$で定義され,物質表面での熱伝達効率と物質内部の熱移動効率との相対比を表わす.
流れ場に流体温度と異なる温度の物体が置かれたとき,$Bi$数が$0.1$より$(\ 7\ )$,物体温度の非定常変化は集中熱容量法を用いて近似的に計算できる.
④
ヌッセルト数$Nu$は$(\ 8\ )$で定義される無次元数で,流体の対流によって生じる熱移動と静止流体中の熱伝導による熱移動の相対比を表わし,様々な系での熱伝達率の推定式は$Nu$数を用いて表現されている.
⑤
フーリエ数$Fo$は,伝熱時間を温度の非定常な変化が物体全体に行きわたるに要する時間で無次元化したもので$(\ 9\ )$で定義される.
ハイスラー線図では横軸に$Fo$数を,縦軸に$(\ 10\ )$をとって,物体温度の非定常変化を整理している.
[選択肢]
$(a)$乱流 $(b)$層流 $(c)$並流 $(d)$エクマン境界層 $(e)$速度境界層 $(f)$温度境界層 $(g)$小さければ $(h)$大きければ $(i)$無次元距離 $(j)$無次元温度 $(k)$無次元時間 $(l)$$\frac{\alpha\cdot l}{k_s}$ $(m)$$\frac{u\cdot l}{\nu}$ $(n)$$\frac{a}{l^2}t$ $(o)$$\frac{\mu\cdot c_p}{k_l}$ $(p)$$\frac{\alpha\cdot l}{k_l}$
ただし,
$\alpha:$熱伝達率,$a:$熱拡散率(温度伝導率),$l:$代表長さ(物体の大きさ),$t:$時間,$k_s:$物体の熱伝導率,$k_l:$流体の熱伝導率,$c_p:$流体の熱容量(比熱),$u:$流体の流速,$\nu:$動粘性係数(動粘度),$\mu:$粘性係数(粘度)
とする。
解答例・解説
$
(1) \ m\\
(2) \ b\\
(3) \ o\\
(4)\ e\\
(5)\ f\\
(6)\ l\\
(7)\ g\\
(8)\ p\\
(9)\ n\\
(10)\ j
$
対流熱伝達(2) 水平平板の対流熱伝達
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すごとく,温度$20^\circ \rm C$,速度$u=2.5\,\rm m/s$の大気流中に置かれた幅$0.4\,\rm m$の平板がある.気流と平板とは平行で,平板の温度は$350^\circ \rm C$に維持されている.先端から距離$x$の位置の局所熱伝達率$\alpha_x$が,下式で計算できるとして,以下の問いに答えよ.
ただし,平板と大気温度の平均値を境界層の温度とみなしたとき,空気の動粘度$\nu$は$3.35\times10^{-5}\,\rm{m^2/s}$,熱伝導率$k$は$3.57\times10^{-2}\,\rm{W/(m・K)}$,プラントル数$\rm Pr$は$0.711$である.
\[
\alpha_x=0.332Pr^{\frac{1}{3}}\cdot k \cdot \sqrt{\frac{u}{\nu\cdot x}}
\]
%=image:/media/2015/01/23/142194936977094700.png:
$(1)$
平板の先端から下流に$0.2\,\rm{m}$の位置での局所熱伝達率$\rm\alpha(x=0.1m)[W/(m^2\cdot K)]$を求めよ.
$(2)$
図$(a)$に示すように,この平板の長さが$0.6\,\rm{m}$であったとき,この平板の平均熱伝達率$\rm\alpha_m[W/(m^2\cdot K)]$,および平板(表・裏)から流出する熱流量$Q\rm[W]$を求めよ.
$(3)$図$(b)$に示すように,この平板を長さ$0.2\,\rm{m}$の$3$枚の平板に分割して大気流中に平行に並べたとき,$3$枚の平板から流出する熱流量の合計は,図$(a)$の場合に比べて何倍になるか求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[
\begin{align}
\alpha&=0.332\times0.711^{\frac{1}{3}}\cdot 3.57\times10^{-2}\cdot\sqrt{\frac{2.5}{3.35\times10^{-5}\times0.2}}\\
&=6.462\,\rm{W/(m^2・K)}\\
\end{align}
\]
$(2)$
\[
\begin{align}
\alpha_m&=\frac{1}{0.6}\int_0^{0.6}\alpha_xd_x\\
&=\frac{1}{0.6}\times0.332\times0.711^{\frac{1}{3}}\times3.57\times10^{-2}\sqrt{\frac{2.5}{3.35\times10^{-5}}}\int_0^{2\sqrt{0.6}}\frac{d_x}{\sqrt{x}}\\
&=7.462\,\rm{W/m^2K}\\
Q&=2\times0.6\times0.4\times7.462\times(350-20)\\
&=1.18\times10^3\,\rm{W}\\
\end{align}
\]
$(3)$
図$(b)$と図$(a)$で伝熱面積は同じであるから,熱流量の比は平均熱伝達の比に一致する.
そこで長さ$0.2\,\rm{m}$の平板の平均熱伝達率を$\alpha_{0.2}$とすると
\[
\alpha_{0.2}=0.332P_r^{\frac{1}{3}}\cdot k\sqrt{\frac{u}{\nu}}\cdot\frac{1}{0.2}\int_0^{0.2}\frac{dx}{\sqrt{x}}
\]
長さ$0.6\,\rm{m}$の平板は
\[
\alpha_{0.6}=0.332P_r^{\frac{1}{3}}\cdot k\sqrt{\frac{u}{\nu}}\cdot\frac{1}{0.6}\int_0^{0.6}\frac{dx}{\sqrt{x}}
\]
したがって,あるべき倍率は
\[
\frac{\alpha_{0.2}}{\alpha_{0.6}}=\frac{0.6}{0.2}\times\frac{\int_0^{0.2}\frac{dx}{\sqrt{x}}}{\int_0^{0.6}\frac{dx}{\sqrt{x}}}=\frac{0.6}{0.2}\times\frac{2\sqrt{0.2}}{2\sqrt{0.6}}=\sqrt{3}\ \left(倍\right)
\]
対流熱伝達(3) 円管内の対流熱伝達
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すような内径$(d)4.0\,\rm{mm}$の円管があり,管壁温度$(T_w)$を$100^\circ \rm{C}$に保たれた$1.5\,\rm{m}$の加熱区間$(x)$が設けられている.そこに$Tb_1=20^\circ \rm{C}$の水を平均流速$(u_m)\ 0.15\ \rm{m/s}$で流したときに加熱区間出口での水の平均温度を求めたい.以下の問いに答えよ.
なお,加熱区間の手前には十分に長い非加熱(断熱)区間が設けられており,水は十分に発達した流れで加熱区間に流入していると仮定してよい.
また,水の密度$(\rho)$は$988\ \rm{kg/m^3}$,比熱$(c_p)$は$4.18\,\rm{kJ/(kg\cdot K)}$,熱伝導率$(k)$は$0.640\,\rm{W/(m\cdot K)}$,動粘性係数$(\nu)$は$\rm{0.544\times10^{-6}\,m^2/s}$,プランドル数$(Pr)$は$3.57$とせよ.
%=image:/media/2015/01/22/142192744708627000.png:
$(1)$
この系のレイノルズ数$Re_{d}$を求めよ
$(2)$
十分に発達した円管内層流熱伝達の平均ヌッセルト数$(Nu_{m})$を与えるハウゼンの式(下式)を用いて,加熱区間の平均熱伝達率$\alpha_m\,\rm{[W/(m^2 \cdot K )]}$を求めよ.
\[
Nu_m=3.66+\frac{0.0668}{0.04\tilde{x}^{1/3}+\tilde{x}}\hspace{15px}\tilde{x}\equiv\frac{(x/d)}{(Re_d\cdot Pr)}
\]
$(3)$
加熱区間で水の熱量の増加分が管壁からの熱伝達量に等しいことを用いて,水の出口温度$Tb_2[^\circ \rm C]$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[
\begin{align}
Re_d&=\frac{ud}{\nu}=\frac{0.15\times4\times10^{-3}}{0.544\times10^{-6}}\\
&=1.103\times10^3\ \Longrightarrow \ 1.10\times10^3\ (<2300)
\end{align}
\]
$(2)$
\[
\begin{align}
\frac{\alpha_m\cdot d}{k}&=Nu_m=3.66+\frac{0.0668}{0.04x^{1/3}+x}\\
x&=\frac{\left(x/d\right)}{\left(Re_d\cdot Pr\right)}\\&=\frac{\left(\frac{1.5}{4\times10^{-3}}\right)}{1.103\times10^3\times3.57}=9.523\times10^{-2}\\
\alpha_m&=\frac{k}{d}Nu_m\\&=\frac{0.640}{4\times10^{-3}}\left(3.66+\frac{0.0668}{0.04\times\left(9.523\times10^{-2}\right)^{1/3}+9.523\times10^{-2}}\right)\\
&=679.8\, \rm{w/m^2\cdot K}
\end{align}
\]
$(3)$
\[
\begin{align}
\frac{\pi}{4}\alpha^2\cdot \rho u_m\cdot C_p(Tb_2-20)&=nd\times l\times\alpha_m\frac{(100-20)-(100-Tb_2)}{\ln\left(\frac{100-20}{100-Tb_2}\right)}\\
\Longrightarrow \ln\left(\frac{80}{100-Tb_2}\right)&=\frac{\alpha_m\cdot l}{\frac{d}{4}\cdot\rho u_mC_p}\\
\ln(100-Tb_2)&=\ln(80)-\frac{4\alpha_m\cdot l}{d\cdot \rho u_mC_p}\\
100-Tb_2&=80 \exp\left[-\frac{4\alpha_m\cdot l}{d\cdot\rho u_mC_p}\right]\\
\therefore Tb_2&=100-80 \exp[-1.646]\\
&=84.58\rm{^\circ C}\\
&=84.6\rm{^\circ C}
\end{align}
\]
対流熱伝達(4) 熱通過
適用レベル
難易度: ★★★
厚さ$0.05\,\rm{m}$の鉄板があり,一方の表面は$80^\circ \rm{C}$に保たれ,他方の表面は$5^\circ \rm{C}$の水の流れに接触している.鉄板の熱伝導率を$40\,\rm{W/(m\cdot K)}$,鉄板表面の水との熱伝達率を$400\,\rm{W/(m^2\cdot K)}$としたとき,以下の問いに答えよ.
$(1)$
鉄板から水に流出する熱流束$\rm{[W/m^2]}$を求めよ.
$(2)$
鉄板の水に接触している側の表面温度$[{\rm{K}}]$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
求めるべき熱流束を$q$で表すと
\[
\begin{align}
q&=\frac{80-5}{\frac{0.05}{40}+\frac{1}{400}}\\
&=75\times\frac{800}{3}\\
&=\underline{20000\, \rm{W/m^2}}
\end{align}
\]
$(2)$
求めるべき表面温度を$T$で表すと
\[
\begin{align}
q&=20000=400\times[80-(T-273.15)]\\
\therefore T&=80-50+273.15\\
&=\underline{303.15\, \rm{K}}
\end{align}
\]
或いは
\[
\begin{align}
20000&=\frac{40}{0.05}\times[(T-273.15)-5]\\
\therefore T&=\frac{20000}{800}+5+273.15\\
&=\underline{303.15\, \rm{K}}
\end{align}
\]
対流熱伝達(5) 対流場の輸送現象
知識・記憶レベル
難易度: ★
以下の$(1)\sim(5)$内に入る適切な語句を,選択欄の語群から選びなさい.
流れ場は質量保存を表す$(\ 1\ )$と,運動量のつり合いを表わす$(\ 2\ )$とを連立させて解くことで求まる.
温度場がある場合には熱の移動を考慮に入れた$(\ 3\ )$も含めて同時に解かねばならないが,速度場が温度場の影響をほとんど受けない場合には,$(\ 1\ )$と$(\ 2\ )$を$(\ 3\ )$から切り離して計算することができる.
このような流れを$(\ 4\ )$と呼び,流体密度の温度依存性に起因する体積力の作用によって生じるような流れを$(\ 5\ )$と呼ぶ.
[選択欄]
$(a)$エネルギー方程式 $(b)$連続の式 $(c)$運動方程式 $(d)$状態方程式$(e)$自然対流 $(f)$プラズマ対流 $(g)$強制対流
解答例・解説
$(1)\ b
\\
(2)\ c
\\
(3)\ a
\\
(4)\ g
\\
(5)\ e
$
対流熱伝達(6) 配列円管まわりの対流熱伝達
適用レベル
難易度: ★★★
$20^\circ \rm{C}$の空気が流速$u_0=20\,\rm{m/s}$で流れている.
図に示すように,この流れの中に垂直に外径$d=20\,\rm{mm}$の円管を基盤目状(中心軸間距離$S=50\ \,\rm{mm}$)に配置され表面温度を$100^\circ\rm{ C}$に保っているとき,この円管($1$本)の$1\,\rm{m}$当たりの伝熱量を求めよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125744908904400.png:
ただし,円管と空気流との熱伝達のヌッセルト数$Nu$は,以下に示す$Zukauskas$の式で評価することとし,空気のプランドル数$Pr$および$Pr_w$は,それぞれ流入温度($20^\circ \rm{C}$)と円管表面温度($100^\circ \rm{C}$)で評価,空気流のレイノルズ数$Re_{max}$は最狭部の流速$u_{max}$を用いて評価せよ.
また,定数$C$と$n$は,下記から適切な数値を選んで使用せよ.
\[
Nu=CRe_{max}^n Pr^{0.36}\left(\frac{Pr}{Pr_w}\right)^{0.25}
\]
%=image:/media/2015/01/23/142201744759534700.png:
解答例・解説
\[
u_{max}=u_0\frac{S}{S-d}=20\times\frac{50}{50-20}=\frac{100}{3}=33.3\, \rm{m/s}\\
\]
空気の特性値表から
\[
Pr=0.71\ ,\ Pr_w=0.708\\
\ \\
Re_{max}=\frac{u_{max}\cdot d}{\nu}=\frac{33.3\, \rm{m/s}\times0.02\, \rm{m}}{0.154\times10^{-4}\, \rm{m^2/s}}=4.325\times10^4\\
\]
問題文の表より$C=0.26\ ,\ n=0.6$を選択すると
\[
\begin{align}
\therefore Nu&=0.26\times\left(4.325\times10^4\right)^{0.6}\times0.71^{0.36}\times\left(\frac{0.71}{0.708}\right)^{0.25}\\
&=139.1
\end{align}
\]
従って,円管と空気の熱伝達率$\alpha$は,空気の熱伝導率$R$を$20^\circ \rm{C}$での値$0.0256\, \rm{w/m\cdot K}$として
\[
\begin{align}
\alpha&=Nu\frac{R}{d}\\
&=139.1\times\frac{0.0256}{0.02}=178.0\, \rm{W/(m^2\cdot K)}
\end{align}
\]
円管$1m$当たりの伝熱量$Q$は
\[
\begin{align}
Q&=\alpha\times(100-20)\times\pi\times d\times1\, \rm{m}\\
&=178.0\times80\times\pi\times0.02\times1\\
&=894.7\ →\ 895\, \rm{W}
\end{align}
\]