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例題集 / 物理 / 力学 / 単振動・円運動

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難易度

等速円運動

知識・記憶レベル   難易度:
% 質量 $m$ の物体が, $xy$ 平面の原点を中心とする半径 $r$ の円周上を, 一定の角速度 $\omega$ で反時計回りに回転している. 時刻 $0$ で $(x, y) = (r, 0)$ を通過したとして, 以下の問いに答えよ. % \begin{enumerate} \item[(1)] 時刻 $t$ での物体の位置を $(x(t), y(t))$ とおいたとき, $t$ の関数 $x(t)$ と $y(t)$ を求めよ. \item[(2)] 時刻 $t$ で物体に生じる向心加速度 $\vec{a}$ を計算し, その大きさ $|\vec{a}|$ を求めよ. \item[(2)] 太陽のまわりの地球の公転を等速円運動とみなした場合, 向心加速度の大きさはいくらか. 地球の質量を$6.0\times10^{24} \,\textrm{kg}$, 公転半径を$1.5\times 10^{11} \,\textrm{m}$, 1年を$3.2 \times 10^7 \,\textrm{s}$として有効数字2桁で求めよ. \end{enumerate} %

解答例・解説

\begin{enumerate} \item[(1)] $(x,y) = (r,0)$ を通過してから 時刻 $t$ になるまで, 時間は $t$ だけ経過する. 角速度が $\omega$ なので, この間の回転角度は $\omega t$ となり, 物体は半径 $r$ の円周上を $(r,0)$ から 反時計回りに $\omega t$ 回転した地点まで進むことになる. したがって, 物体の位置座標 $x(t)$ と $y(t)$ は次のように表される。 % \begin{align*} x(t) &= r \cos \omega t, \\ y(t) &= r \sin \omega t. \end{align*} % \item[(2)] 向心加速度を $\vt{a} = (a_x, a_y)$と成分表示すると % \begin{align*} a_x &= x''(t) =- r \omega^2 \cos \omega t, \\ a_y &= y''(t) = (r \omega \cos \omega t)' =- r \omega^2 \sin \omega t. \end{align*} % よって,その大きさ$|\vt{a}|$は % \begin{align*} |\vt{a}| &= \sqrt{a_x^2 + a_y^2} = r \omega^2. \end{align*} % \item[(3)] 地球は1周 $2 \pi \,\textrm{rad}$ を1年間で回転するので角速度 $\omega$ は % \begin{align*} \omega = \frac{2 \pi \,\textrm{rad}}{1 \,\textrm{年}} = \frac{2 \cdot 3.14 \,\textrm{rad}}{3.2 \times 10^7 \,\textrm{s}} = 1.96 \cdots \times 10^{-7} \left[\textrm{rad}/\textrm{s}\right] \end{align*} % よって,向心加速度の大きさは % \begin{align*} |\vt{a}| = 1.5 \times 10^{11} \,\textrm{m} \cdot (1.96 \times 10^{-7} \textrm{rad}/\textrm{s})^2 = 5.76 \cdots \times 10^{-3} \,\left[\textrm{m}/\textrm{s}^2\right] \end{align*} % 有効数字2桁では $5.8 \times 10^{-3} \,\textrm{m}/\textrm{s}^2$ である。 \end{enumerate}

ばねの運動

知識・記憶レベル   難易度:
摩擦のない滑らかな机の上に一端を固定されたばねがあり, 他端に質量 $m$ の質点 P がとりつけられている。 質点 P が, 速度に比例する抵抗を受けて運動するとき, 質点 P の運動を求めよ。 ただし, ばね定数を $k$, 抵抗の比例定数を $\gamma$ とせよ。

解答例・解説

ばねが自然の長さであるときの質点の位置を原点とする。 ばねの先端にとりつけられた質点 P の, 時刻 $t$ における質点の位置を $x(t)$, 速度を $v(t)$ とする。 \reff{ばね定数}{フックの法則} $k$ のばねが $x$ だけ伸びたとき, ばねが元の長さ戻ろうとして質点に加わる力は % \begin{align*} F_1=-kx \end{align*} % である(\reff{フックの法則}{フックの法則})。 また, 質点が速度に比例する抵抗を受けるとき, 質点に加わる力 $F_2$ は速度と逆向きであるから % \begin{align*} F_2=-\gamma v(t) \end{align*} % となる。 したがって, 質点 P の\reff{運動方程式}{運動の第2法則}は % \begin{align*} -kx(t)-\gamma v(t)=mx''(t) \end{align*} % となる。 $v(t)=x'(t)$ であるから, 質点の位置 $x(t)$ に関する \hook{定数係数2階線形微分方程式}{定数係数2階線形微分方程式} % \begin{align*} mx''(t)+\gamma x'(t)+kx(t)=0 \end{align*} % が成り立つ。 この方程式の\reff{特性方程式}{定数係数2階線形微分方程式}は % \begin{align*} m\lambda^2+\gamma \lambda+k=0 \end{align*} % となるから, 質点の運動は次のように分類することができる。 % \begin{enumerate} \item[i)] $\gamma^2-4mk>0$ のとき特性方程式は2つの実数解 % \begin{align*} \lambda=\frac{-\gamma\pm\sqrt{\gamma^2-4mk}}{2m} \end{align*} % をもつ。 解の形からこの解は負であり, これを $-\alpha$, $-\beta$ ($\alpha$, $\beta>0$) とおくと % \begin{align*} x(t)=Ae^{-\alpha t}+Be^{-\beta t} \quad (\mbox{$A$, $B$ は任意定数}) \end{align*} % となる。 したがって, 質点は振動せず, やがて元の長さに戻っていく。 \item[ii)] $\gamma^2-4mk=0$ のとき特性方程式は2重解 % \begin{align*} \lambda=\frac{-\gamma}{2m}<0 \end{align*} % をもつ。 この解は負であり, これを $-\alpha$ とおくと % \begin{align*} x(t)=e^{-\alpha t}(At+B) \quad (\mbox{$A$, $B$ は任意定数}) \end{align*} % となる。 この場合も質点は振動せず, やがて元の長さに戻っていく。 \item[iii)] $\gamma^2-4mk<0$ のとき特性方程式は虚数解 % \begin{align*} \lambda=\frac{-\gamma\pm\sqrt{4mk-\gamma^2}\,i}{2m} \end{align*} % をもつ。 これを $-\alpha\pm i\omega $ ($\alpha\ge 0$) とおくと % \begin{align*} x(t)=e^{-\alpha t}(A\cos{\omega t}+B\sin{\omega t}) \quad (\mbox{$A$, $B$ は任意定数}) \end{align*} % となる。 $\gamma=0$, すなわち, 空気抵抗がなければ $\alpha=0$ となり, 質点は\reff{単振動}{単振動}を行う。 $\gamma>0$ のとき, 質点は\reff{減衰振動}{単振動}を行う。 \end{enumerate}