物体を静かに落下させたとき,
速度に比例する空気抵抗を受けながら落下運動を行うものとする。
落下してから $t$ 秒後の物体の速度を求めよ。
十分な時間が経過したとき,
この物体の速度はどれだけになるか。
ただし,
重力の加速度を $g\,\left[\textrm{m}/\textrm{s}^2\right]$ とし,
空気抵抗の比例定数を $\gamma\,\left[\textrm{Ns}/\textrm{m}\right]$ とせよ。
解答例・解説
鉛直下方に正の方向とし,
$t$ 秒後の物体の位置を $x(t)\,\,\left[\textrm{m}\right]$,
速度を $v(t)\,\left[\textrm{m}/\textrm{s}\right]$ とする。
また物体の質量を $m\,\,\left[\textrm{kg}\right]$ とする。
この物体に加わる力は重力と空気抵抗であり,
重力の方向は正の方向で大きさは $mg\,\left[\textrm{N}\right]$ である。
空気抵抗の方向は負の向きで,
速度に比例する大きさである。
したがって,
運動方程式 $\boldsymbol{F}=m\boldsymbol{a}$ は
%
\begin{align*}
mg-\gamma v(t)=m x' '(t)
\end{align*}
%
である。
$x'(t)=v(t)$ であるから,
この微分方程式は $v(t)$ に関する微分方程式
%
\begin{align*}
v'(t)+\frac{\gamma}{m} v(t)=g
\end{align*}
%
と書き直すことができる。
この方程式の一般解は,
%
\begin{align*}
v(t)=C e^{-\frac{\gamma}{\,m\,}t-\frac{mg}{\gamma}}
\end{align*}
%
となる。
$v(0)=0$ であるから,
$C=\frac{mg}{\gamma}$ となり,
%
\begin{align*}
v(t)=-\frac{mg}{\gamma}\left(1-e^{-\frac{\gamma}{\,m\,}t}\right)
\end{align*}
%,
が得られる。
$\displaystyle \lim_{x\to }e^{-\frac{\gamma}{\,m\,}t}=0$ であるから,
十分な時間が経過したときのこの物体の速度 $v_{\infty}$ は
%
\begin{align*}
v_{\infty}
&=
\frac{mg}{\gamma}
\end{align*}
%
となる。
この速度は\ommindex{終端速度}{しゅうたんそくど}と呼ばれている。