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例題集 / 機械 / 流れ学 (V-A-4 熱流体) / 流体の性質
流体の性質(1) 工学単位とSI単位
知識・記憶レベル
難易度: ★
工学単位で表された以下の量をすべて$\rm{SI}$単位にせよ.
$(1) \ 10.0\,\rm{kg f/cm}^2$
$(2) \ 300\,\rm{mmHg}$
$(3) \ 3.0\,\rm{atm}$
$(4) \ 200\,\rm{PS}$
$(5) \ 9.0\,\rm{P}(ポアズ ,\rm{g/(cm \cdot s)})$
解答例・解説
$(1)$
\[
\begin{align}
10.0\,\rm{kgf/\,\rm{cm}}^2&=10.0\times\frac{9.807}{(10^{-2})^2}\hspace{15px}\frac{N}{m^2}\\
&=9.81\times10^5\,\rm{Pa}\\
&=981\,\rm{kPa}
\end{align}
\]
$(2)$
\begin{align}
300\,\rm{mmHg}=\frac{300}{760}\times0.1013\,\rm{MPa}&=0.039986\,\rm{MPa}\\
&=40.0\,\rm{kPa}
\end{align}
$(3)$
\begin{align}
3.0\,\rm{atm}=3\times0.1013\,\rm{Mpa}&=0.3039\,\rm{MPa}\\
&=304\,\rm{kPa}
\end{align}
$(4)$
\begin{align}
200\,\rm{PS}=200\times0.7355\,\rm{kW}&=147.1\,\rm{kW}\\
&=147\,\rm{kW}
\end{align}
$(5)$
\begin{align}
9.0\,\rm{P}=9.0\times\frac{10^{-3}}{10^{-2}}\,\rm{kg/m\cdot s}=0.9\,\rm{Pa\cdot s}
\end{align}
流体の性質(2) 比重と密度
知識・記憶レベル
難易度: ★
比重$s=0.8$の流体の密度$\rho$を求めよ.
解答例・解説
\[
\begin{align}
\rho&=s \rho_w\\
&=0.8 \cdot 10^3\\
&=800\,\rm{kg/cm^3}
\end{align}
\]
流体の性質(3) ガス定数
理解レベル
難易度: ★★
メタンガス$(\rm{CH_4})$のガス定数$R$を求めよ.
ただし,炭素の原子量$12$,水素の原子量$1$,一般ガス定数$R_u=8.314\,\rm{kJ/(kmol\cdot K)}$とし,有効数字$3$桁で答えよ.
解答例・解説
メタンガスの分子量は
\[
\rm{CH_4} \longrightarrow M=12+4=16
\]
したがってガス定数は
\[\begin{align}
R
&=\frac{R_u}{M}\\
&=\frac{8.314}{16}\\
&=0.5196\\
&=0.520 \,\rm{kJ/(kg\cdot K)}
\end{align}\]
流体の性質(4) 理想気体の状態方程式
理解レベル
難易度: ★★
標準状態(温度$25^\circ \rm{C}$,圧力$1\,\rm{atm}$)における,$( \ a\ )$空気の比容積$\upsilon$,ならびに$(\ b\ )$密度$\rho$を求めよ.
ただし,空気のガス定数を$0.287\,\rm{kJ/(kg\cdot K)}$とし,有効数字$3$桁で答えよ.
解答例・解説
$(a)$
理想気体の状態方程式より
\[\begin{align}
\upsilon = \frac{RT}{p}
&=\frac{0.287 \times 10^3 \times 298.15}{0.1013 \times 10^6}\\
&=0.8447\\
&=0.845 \,\rm{m^3/kg}
\end{align}\]
$(b)$
密度は比容積の逆数であるので
\[\begin{align}
\rho = \frac{1}{\upsilon}
&= \frac{1}{0.8447}\\
&=1.11838\\
&=1.18 \,\rm{kg/m^3}
\end{align}\]
流体の性質(5) 流体の圧縮性
理解レベル
難易度: ★★
$0.1\,\rm{MPa}$で$15^\circ\rm{C}$の水$1\,\rm{m^3}$が$2\,\rm{MPa}$加圧されたとき,その体積変化$\Delta V$を求めよ.
ただし,この条件下での水の体積弾性係数を,$2.045 \times 10^3 \,\rm{MPa}$とし,有効数字$3$桁で答えよ.
解答例・解説
\[
\Delta V=-V\frac{\Delta P}{K}=-1\times\frac{2\times10^6}{2.045\times10^9}=0.978\times10^{-3}\ \,\rm{m^3}
\]
流体の性質(6) 粘度と動粘度
知識・記憶レベル
難易度: ★
粘性係数が$0.987\,\rm{Pa\cdot s}$,密度が$955\,\rm{kg/m^3}$の液体の動粘度$\nu$を有効数字$3$桁で答えよ.
解答例・解説
\[\begin{align}
\nu=\frac{\mu}{\rho}
&=\frac{0.987}{955}\\
&=0.0010335 \\
&=1.03 \times 10^{-3}\,\rm{m^2/s}
\end{align}\]
流体の性質(7) ニュートンの粘性法則
知識・記憶レベル
難易度: ★
速度$u$の流れ場に対して,流れに垂直方向の座標位置を$y$,流体の粘性係数を$\mu$としたとき,流体に働くせん断応力$\tau$を表すニュートンの粘性法則を記述せよ.
解答例・解説
\[
\tau=\mu\frac{du}{dy}
\]
流体の性質(8) 粘性
理解レベル
難易度: ★★
間隔$h=5\,\rm{mm}$の$2$枚の板の間に粘度$\mu=0.8\times 10^{-3}\,\rm{Pa\cdot s}$の流体が満たされている.
下の板に対して上の板を速度$U=5\,\rm{m/s}$で動かすとき,板に働くせん断応力$\tau$を求めよ.
ただし,板の間の流体の速度勾配は一定とする.
解答例・解説
ニュートンの粘性法則より
\[
\tau=0.8\times10^{-3}\times\frac{5}{5\times10^{-3}}=0.8\,\rm{Pa}
\]
流体の性質(9) 粘性による力
適用レベル
難易度: ★★★
図のような形状のピストン$\cdot$シリンダにおいて,$6\,\rm{m/s}$の速度でピストンが動いている.
ピストンとシリンダの隙間は一様であり,隙間は潤滑油で満たされているものとする.
ピストンと油の接触面に作用する粘性による力を求めよ.
ただし,潤滑油の粘土を$0.5\,\rm{Pa\cdot s}$とする.
%=image:/media/2015/01/15/142125767671708300.png:
解答例・解説
ニュートンの粘性法則により,粘性によるせん断応力は
\[\begin{align}
\tau = \mu \frac{du}{dy}
&=0.5\times \frac{6}{0.1 \times 10^{-3}}\\
&=30 \times 10^{3} \,\rm{Pa}
\end{align}\]
粘性による力は,(せん断応力)×(接触面積)だから,
\[\begin{align}
F = \tau A
&=30000\times \pi \times126.8 \times 10^{-3} \times 140 \times 10^{-3} \\
&=1673 \,\rm{N}
\end{align}\]
流体の性質(10) 粘性による速度分布
理解レベル
難易度: ★★
図に示すように,壁面に沿う流れの速度分布$u$が次の放物形で与えられているものとする.
\[
u(y)=U\left\{ 2\frac{y}{h}-\left( \frac{y}{h} \right)^2 \right\}
\ \ \ \ \ \ \
0 \leq y \leq h
\]
ここで,$y$は壁面からの位置座標であり,$y=h$における最大速度を$U$とする.
次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125762001189900.png:
$(1)$
流れの速度勾配$\frac{du}{dy}$を求めよ.
$(2)$
流体の粘性係数を$\mu=0.9\times 10^{-3}\,\rm{Pa\cdot s}$,最大速度を$U=3\,\rm{m/s}$,$h=5\,\rm{cm}$とするとき,$y=0.5\,\rm{cm}$の位置におけるせん断応力$\tau$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[\begin{align}
\frac{du}{dy}
&=U \left( \frac{2}{h} - 2\frac{y}{h^2} \right)\\
&=\frac{2U}{h}\left( 1- \frac{y}{h} \right)
\end{align}\]
$(2)$
\[\begin{align}
\tau = \mu\frac{du}{dy}
&=0.9 \times 10^{-3} \times \frac{2 \times 3}{5 \times 10^{-2}}\left( 1-\frac{0.5 \times 10^{-2}}{5 \times 10^{-2}} \right) \\
&=0.0972 \,\rm{Pa}
\end{align}\]
流体の性質(11) 表面張力と毛細管現象
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すように空気に接している水中に立てた内径$d$のガラス細管中を上昇する液柱高さ$h$を求めたい.
水の密度を$\rho$,重力加速度を$g$,水が空気に接触するときの表面張力を$\sigma$,水とガラス管内壁の接触角を$\theta$として,次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125765116295700.png:
$(1)$
管内の液面と管壁内面の交わりに沿って働く表面張力による力$F$を数式で示せ.
$(2)$
表面張力による力$F$の鉛直方向成分$F_y$を数式で示せ.
$(3)$
直径$d$,高さ$h$の水柱に働く重力$W$を数式で示せ.
$(4)$
鉛直方向の力のつり合い式を立てよ.
$(5)$
求める液柱高さ$h$を数式で示せ.
$(6)$
接触角$\theta = 8^\circ$,表面張力$\sigma = 0.0728\,\rm{N/m}$の条件下で,密度$\rho = 1000\,\rm{kg/m^3}$の水を毛細管現象を利用して高さ$h=5\,\rm{cm}$以上に吸い上げたい.
ガラス管の内径$d$をいくら以下に設計すればよいか答えよ.
ただし,有効数字$3$桁で答えよ.
解答例・解説
$(1)$
(表面張力による力)=(界線の長さ)×(表面張力)だから,
\[
F=\pi d\sigma
\]
$(2)$
$F$の鉛直方向成分は$F\cos\theta$だから,
\[
F_y=\pi d\sigma \cdot \cos\theta
\]
$(3)$
重力$W=mg=V\rho g$だから,
\[
W=\frac{\pi}{4}d^2h \rho g
\]
$(4)$
鉛直方向の力のつり合い式より,
\[
F_y= W\\
\pi d \sigma\cdot \cos\theta = \frac{\pi}{4}d^2h\rho g\\
\therefore
\sigma \cdot \cos\theta = \frac{dh \rho g}{4}
\]
$(5)$
力のつり合い式を整理して,
\[
h=\frac{4\sigma \cdot \cos\theta}{d \rho g}
\]
$(6)$
\[
\frac{4 \times 0.0728 \times \cos8^\circ}{d \times 1000 \times 9.8}\ge 5 \times 10^{-2}\\
d \le \frac{4 \times 0.0728 \times \cos8^\circ}{1000 \times 9.8 \times 5 \times 10^{-2}}\\
d \le 0.005885\\
d \le 0.00589\\
\]
\[
\therefore
dは5.89\,\rm{mm}以下にしなければいけない
\]
流体の性質(12) 表面張力と毛細管現象
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すように,内径$d_1$の円筒(シリンダ)の内部に外径$d_2$の円柱(ピストン)が収められており,その下端部分が密度$\rho$の液中に立てられている.
液はシリンダとピストンの隙間を毛細管現象によって這い上がり,高さ$h$のところで静止している.
ピストン外壁ならびにシリンダ内壁と,この液体との接触角を一様に$\theta$,この液体の雰囲気ガスに対する表面張力を$\sigma$,重力加速度を$g$としたとき,次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125776887235100.png:
$(1)$
シリンダとピストンの隙間を這い上がった液面と,シリンダ$\cdot$ピストンの両壁面をの交線に沿って働く表面張力による力$F$を数式で示せ.
$(2)$
表面張力による力$F$の鉛直方向成分$F_y$を数式で示せ.
$(3)$
隙間を這い上がる高さ$h$の液に働く重力$W$を数式で示せ.
$(4)$
鉛直方向の力のつり合い式を立てよ.
$(5)$
液が這い上がる高さ$h$を数式で示せ.
解答例・解説
$(1)$
(表面張力による力)=(表面張力)×(界線の長さ)だから,
\[
F= \sigma (\pi d_1 + \pi d_2) = \pi \sigma(d_1 + d_2)
\]
$(2)$
$F$の鉛直方向成分は$F\cos\theta$だから,
\[
F_y = \pi \sigma (d_1 + d_2)\cos\theta
\]
$(3)$
重力$W=mg=\rho Vg$だから,
\[
W=\rho\frac{\pi}{4}\left(d_1^2- d_2^2\right)h
\]
$(4)$
鉛直方向の力のつり合い式より,
\[
F_y= W\\\pi \sigma \left( d_1 + d_2 \right)\cos\theta = \frac{\pi}{4}\rho \left( d_1 - d_2 \right)\left(d_1 + d_2 \right)hg\\
\sigma \cdot \cos\theta = \frac{\rho}{4}\left(d_1 - d_2 \right)hg
\]
$(5)$
力のつり合い式を整理して,
\[
h = \frac{4\sigma \cdot \cos \theta}{\rho\left(d_1 - d_2 \right)g}
\]