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例題集 / 機械 / 流れ学 (V-A-4 熱流体) / 流体の静力学
流体の静力学(1) 全圧力
知識・記憶レベル
難易度: ★
面積$30\,\rm{cm^2}$の表面に一様な圧力$0.1\,\rm{MPa}$が加わるときの全圧力$F_p$を$\rm{SI}$単位で答えよ.
解答例・解説
\[\begin{align}
F_p
&=0.1 \times 10^6 \times 30 \times 10^{-4}\\
&=3\times 10^2 \,\rm{N}
\end{align}\]
流体の静力学(2) 圧力
理解レベル
難易度: ★★
図に示すような容器に,比重$0.8$の油と水が入っている.
ただし,容器は標準大気圧$(0.1013\,\rm{MPa})$に置かれており,重力加速度は$9.8\,\rm{m/s^2}$とする.
次の問いに有効数字$3$桁で答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125770351674500.png:
$(1)$
点Aの絶対圧力を求めよ.
$(2)$
点Bの絶対圧力を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[\begin{align}
p_A
&=p_0 + s \rho_w g h_1\\
&=0.1013 \times 10^6 + 800 \times 9.8 \times 1.3 \\
&=111492 \,\rm{Pa}\\
&=111 \,\rm{kPa}
\end{align}\]
$(2)$
\[\begin{align}
p_D = p_A+ \rho_w g h_2
&=111492+1000 \times 9.8 \times 1\\
&=121292 \,\rm{Pa}\\
&=121 \,\rm{kPa}
\end{align}\]
流体の静力学(3) マノメータ
理解レベル
難易度: ★★
図に示すようなパイプラインに気体が流れている.
パイプ内の圧力を水銀マノメータで測定したところ,図に示すように$400\,\rm{mmHg}$であった.
測定時の大気圧は$p_0=995\,\rm{hPa}$であったとして,次の問いに答えよ.
ただし水銀の比重を$13.6$,重力加速度を$g=9.8\,\rm{m/s^2}$として,有効数字$3$桁で答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125772637258500.png:
$(1)$
パイプ内のゲージ圧力$p_G$を求めよ.
$(2)$
パイプ内の絶対圧力$p_{abs}$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[\begin{align}
p_G
= \rho_mgh
&=13600 \times 9.8 \times 0.4\\
&=53312 \,\rm{Pa}\\
&=533\,\rm{hPa}
\end{align}\]
$(2)$
\[\begin{align}
p_{abs}=p_0+p_G
&=99500+53312\\
&=152812 \,\rm{Pa}\\
&=1528 \,\rm{hPa}\\
&=153 \,\rm{kPa}
\end{align}\]
流体の静力学(4) 真空
理解レベル
難易度: ★★
図に示すようなパイプラインに気体が流れている.
パイプ内の圧力を水銀マノメータで測定したところ,図に示すように真空$400\,\rm{mmHg}$であった.
測定時の大気圧は$995\,\rm{hPa}$であったとして,パイプ内の絶対圧力$p_{abs}$を求めよ.
ただし水銀の比重を$13.6$,重力加速度を$9.8\,\rm{m/s^2}$として,有効数字$3$桁で答えよ.
%=image:/media/2015/02/18/142423213519138500.png:
解答例・解説
\[\begin{align}
p_{abs}
= p_0 - s\rho_{w}gh
&=99500 - 13600 \times 9.8 \times 0.4\\
&=46188 \,\rm{Pa}\\
&=462 \,\rm{hPa}
\end{align}\]
流体の静力学(5) 絶対圧とゲージ圧
知識・記憶レベル
難易度: ★
ゲージ圧$0.3512\,\rm{MPa}$は絶対圧ではいくらか.
ただし,大気圧は標準大気圧とし,有効数字3桁で答えよ
解答例・解説
\[
0.3512+0.1013=0.4525\,\rm{MPa}
\]
流体の静力学(6) タンク内圧力
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すような容器内に,下面より高さ$h_1=1\,\rm{m}$の水が入っている.
水の上は空気であり,その圧力を水銀マノメータで測定したところ大気圧$p_0$との差が$300\,\rm{mmHg}$であった.
水銀の比重を$13.6$,重力加速度を$9.8\,\rm{m/s^2}$として,次の問いに答えよ.
$(1)$
タンク内の空気のゲージ圧$p$はいくらか.
$(2)$
タンク下面Aでのゲージ圧$p_A$はいくらか.
%=image:/media/2015/02/02/142287555833639200.png:
解答例・解説
$(1)$
\[\begin{align}
p=\rho_mgh_2
&=13600\times 9.8\times 0.3\\
&=39984\,\rm{Pa}\\
&=40.0\,\rm{kPa}
\end{align}\]
$(2)$
\[\begin{align}
p_A=p+\rho_m gh_1
&=39984+100\times 9.8\times 1\\
&=49784\,\rm{Pa}\\
&=49.8\,\rm{kPa}
\end{align}\]
流体の静力学(7) フープ応力
適用レベル
難易度: ★★★
内径(直径)$180\,\rm{mm}$,肉厚$5\,\rm{mm}$の薄肉円筒形圧力容器に内圧を加えるとき,容器に生じる最大応力$\sigma$が許容応力$\sigma_a$を超えない内圧(ゲージ圧)の最大値はおよそいくらか.
ただし,容器材料の許容応力$\sigma_a$を$100\,\rm{MPa}$とする.
解答例・解説
\[
フープ応力は \ \sigma = \frac{pD}{2\tau}
\]
\[
\sigma \le \sigma_aより \ \frac{pD}{2\tau}\le \sigma_a
\]
\[\begin{align}
p\le \frac{2\tau \sigma_a}{D}&=\frac{2 \times 5 \times 10^{-3} \times 100 \times 10^6}{180 \times 10^{-3}}\\
&=5.555\ldots\\
&=5.56 \,\rm{MPa}
\end{align}\]
流体の静力学(8) 垂直平板に作用する全圧力
理解レベル
難易度: ★★
図に示すように,水の入った開放容器の側面に,長方形$(1\times 1.2\,\rm{m})$のゲートが垂直に取り付けれらている.Gはゲートの図心,Cは圧力中心を表す.
ゲート上縁は水面下$y=1\,\rm{m}$の位置にある.
次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/02/18/142422768938358300.png:
$(1)$
ゲートにかかる全圧力$F$を求めよ.
$(2)$
ゲートの図心を通る水平軸まわりの断面$2$次モーメント$I_G$を求めよ.
$(3)$
圧力の中心までの距離$y_C$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[
F= \rho g y_GA\\
ここでy_G=1.6 \, \mathrm{m} , \, A=1.2 \, \mathrm{m^2}\\
\begin{align}
F
&=1000\times 9.8\times 1.6 \times 1.2\\
&=18816 \,\rm{N}\\
&= 18.8 \,\rm{kN}
\end{align}\]
$(2)$
幅$b$,高さ$h$の長方形ゲートの図心を通る水平軸まわりの断面$2$次モーメントは$I_G=bh^3/12$となるので,
\[\begin{align}
I_G
=\frac{bh^3}{12}&=\frac{1\times1.2^3}{12}\\
&=0.144 \,\rm{m^4}
\end{align}\]
$(3)$
\[\begin{align}y_C=y_G+\frac{I_G}{y_G A}
&=1.6+\frac{0.144}{1.6\times 1.2}\\
&=1.675\\
&=1.68 \,\rm{m}
\end{align}\]
(解説)
平版に作用する全圧力
図を参考に,実際の圧力分布$p(y)$による力と同等の作用をもたらす仮想の力$F$を考える.
Gはゲートの図心であり,位置座標$y=y_G$,Cは圧力中心であり,位置座標$y=y_C$とする.
ゲートに働く全圧力$F$は,微小要素$dA$に働く全圧力$dF=pdA$の面積分(総和)に等しいので,
\[
F=\int_ApdA=\int_A\rho gydA= \rho g\int_A ydA \ \ \ \cdots(1)'
\]
一方,図心の定義より,
\[
y_GA=\int_A ydA\\
y_G=\frac{\int_AydA}{A} \ \ \ \cdots(2)'
\]
式$(1)'$,$(2)'$により,
\[
F=\rho gy_GA\ \ \ \cdots(3)'
\]
を得る.
%=image:/media/2015/02/18/142422769043177500.png:
次に,全圧力$F$(仮想の集中ベクトル)の作用点C(圧力中心),位置座標$Y_C$を求めたい.
$o-x$軸まわりのモーメントバランスにより,
\[
(Fがつくるモーメント)=(圧力分布pがつくるモーメント)\]
\[
Fy_C=\int_A ydF\\
Fy_C=\int_A y(pdA)\\
\]
ここで,$F=\rho gy_GA,p=\rho gy $より
\[
\rho gy_GAy_C=\rho g\int_Ay^2dA\\
\therefore
y_C=\frac{\int_A y^2dA}{y_G A}
\]
ここで,$\int_Ay^2dA$を断面$2$次モーメントと呼ぶ.
$I_X\equiv \int_Ay^2dA$とおいて,
\[
y_C=\frac{I_x}{y_GA} \ \ \ \cdots(4)'
\]
さらに,平行軸の定理より,
\[
I_x=I_G+Ay_G^2\ \ \ \cdots(5)'
\]
式$(5)'$を式$(4)'$に代入して,
\[
y_C=y_G+\frac{I_G}{y_GA}\ \ \ \cdots(6)'
\]
を得る.
(注意)
$p=\rho gy$の表現について,大気圧$p_0$はゲートの周囲で相殺されるので考慮しない(ゲージ圧の表現となる)ことに注意されたい.
断面$2$次モーメントの計算例
幅$b$,高さ$h$の長方形ゲートの場合,
\[
dA=bdy
\]
\[\begin{align}
I_G
&=\int_Ay^2dA\\
&=\int_{-\frac{h}{2}}^{\frac{h}{2}}y^2bdy\\
&=2\int_{0}^{\frac{h}{2}}y^2bdy\\
&=2b\left[\frac{h^3}{3} \right]^{\frac{h}{2}}_0\\
&=\frac{bh^3}{12}
\end{align}\]
%=image:/media/2015/01/15/142125786463609000.png:
流体の静力学(9) 傾斜平板に作用する全圧力
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すように,円形(直径$1\,\rm{m}$)のゲート(グレー部分)が,水面と$60^\circ$の角度で取り付けられている.
ゲートの上縁が斜面に沿って$y=1\,\rm{m}$の位置にあるとき,次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/02/03/142289436928788200.png:
$(1)$
ゲートにかかる全圧力の大きさ$F$を求めよ.
$(2)$
ゲートの重心を通る水平軸まわりの断面$2$次モーメント$I_G$を求めよ.
ただし,直径$d$の円形ゲートの重心を通る軸まわりの断面$2$次モーメントは$I=\pi d^4/64$となる.
$(3)$
圧力の中心までの深さ$h_c$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[
h_G= y_G\sin\theta= 1.5\sin60^\circ\\
A=\frac{\pi}{4}d^2=\frac{\pi}{4}
\]
\[
\begin{align}
F=\rho g h_G A
&=1000\times 9.8\times \frac{\pi}{4} \times 1.5\sin60^\circ\\
&=9998.57\\
&=10.0 \,\rm{ kN}
\end{align}\]
$(2)$
\[\begin{align}
I_G
=\frac{\pi d^4}{64}&=0.049087\\
&=0.0491 \,\rm{ m^4}
\end{align}\]
$(3)$
\[\begin{align}
h_C=\left(y_G+\frac{I_G}{y_G A}\right)\sin\theta
&=\left(1.5+\frac{0.04909}{1.5\times \frac{\pi}{4}}\right)\sin60^\circ\\
&=1.335\\
&=1.34 \,\rm{ m}
\end{align}\]
流体の静力学(10) 曲面に作用する全圧力
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すような奥行き$1\,\rm{m}$のテンダーゲートで水平水路の水の流れを制御する.
図に示すようにゲートが閉じているとして,次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125795412431600.png:
$(1)$
全圧力の大きさ$F$を求めよ.
$(2)$
$F$の方向$\alpha$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[\begin{align}
F_H=\rho g y_G A_H
&=1000 \times 9.8 \times(2+1.3) \times (2.6\times 1)\\
&=94084 \,\rm{N}
\end{align}\]
\[\begin{align}
F_V=\rho g V
&=1000 \times 9.8 \times\left\{(4+4.2) \times1\right\}\\
&=80360 \,\rm{ N}
\end{align}\]
全圧力の大きさは
\[\begin{align}
F&=\sqrt{{F_H}^2+{F_V}^2}\\
&=116.3\times10^3\ \rm{N}\\
&=116\ \,\rm{kN}
\end{align}\]
$(2)$
\[
\alpha=\tan^{-1}\frac{F_V}{F_H}=43.7^\circ
\]
(解説)
曲面に作用する全圧力
図を参考に,微小要素$dA$に働く全圧力は,
\[
dF=pdA
\]
全圧力$dF$を直交分解して考える.
\[\begin{align}
dF_x
&=dF\cos\theta\\
&=pdA\cos\theta\\
&=pdA_x\ \ \ \cdots(1)'
\end{align}\]
\[\begin{align}
dF_y
&=dF\sin\theta\\
&=pdA\sin\theta\\
&=pdA_y\ \ \ \cdots(2)'
\end{align}\]
ここで,$dA_x$は微小面積$dA$の$x$方向の投影面積,$dA_y$は微小面積$dA$の$y$方向の投影面積.
圧力$p=\rho gy$として,式$(1)'$,$(2)'$の両辺を積分して,
\[\begin{align}
F_x
&=\int_{A_x}pdA_x\\
&=\int_{A_x}\rho gydA_x\\
&=\rho g\int_{A_x}ydA_x\\
&=\rho g y_G A_x \ \ \ \cdots(3)'
\end{align}\]
図心の定義 $\ y_G=\frac{\int_{A_x} ydA_x}{A_x}$
\[\begin{align}
F_y
&=\int_{A_y}pdA_y\\
&=\int_{A_y}\rho gydA_y\\
&=\rho g\int_{A_y}ydA_y\\
&=\rho g \int^{x_2}_{x_1}y\cdot b(x)dx\\
&=\rho g V\ \ \ \cdots(4)'
\end{align}\]
ここで,$V$は曲面から水面までの容積である.
すなわち,$\rho gV$はゲート上の容積分の浮力,あるいは重力に等しい.
全圧力は \[
F=\left(F_x,F_y\right)
\]
Fの大きさは
\[
F=\sqrt{{F_x}^2+{F_y}^2}\\
\]
Fの方向は
\[
\theta=\tan^{-1}\frac{F_y}{F_x}\\
\]
%=image:/media/2015/01/15/142125795512305000.png:
流体の静力学(11) 浮揚体の安定性
適用レベル
難易度: ★★★
図のように直方体が水に浮かんでいる.
この浮揚体の比重を$s$として,安全性を調べたい.
次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125797922791000.png:
$(1)$
この浮揚体に働く力のつり合い式を立てて,喫水$d$が$d=hs$となることを導け.
ただし,水の密度$\rho _w$,重力加速度$g$とする.
$(2)$
浮力の中心Cと重心Gとの距離$\overline{CG}$を,$h$と$s$を用いて表現せよ.
$(3)$
メタセンタの高さ$\overline{GM}$を,$b$,$h$,$s$を用いて表現せよ.
ただし,$o-x$軸まわりの浮揚面($lb$面)まわりの断面$2$次モーメント$I$は,$I=lb^3/12$である.
$(4)$
浮揚体の比重$s=0.6$,寸法$l=10\,\rm{m}$,$b=6\,\rm{m}$,$h=3\,\rm{m}$として,この浮揚体の安定性を調べよ.
$(5)$
$o-x$軸まわりに$10^\circ$傾けたときの復元偶力$T$を求めよ.
解答例・解説
$(1)$
重力と浮力のつり合いより,
\[
\rho_wsgbhl=\rho_wgbdl\\
sh=d\\
\therefore
d=hs
\]
$(2)$
\[\begin{align}
\overline{GC}
&=\frac{h}{2}-\frac{d}{2}\\
&=\frac{h}{2}-\frac{hs}{2}\\
&=\frac{h}{2}(1-s)
\end{align}\]
$(3)$
\[\begin{align}
\overline{GM}
&=\frac{I}{V'}-\overline{GC}\\
&=\frac{\frac{lb^3}{12}}{bdl}-\frac{h}{2}(1-s)\\
&=\frac{b^2}{12hs}-\frac{h}{2}(1-s)
\end{align}\]
$(4)$
\[\begin{align}
\overline{GM}
&=\frac{b^2}{12hs}-\frac{h}{2}(1-s)\\
&=\frac{6^2}{12\times 3\times0.6}-\frac{3}{2}(1-0.6)\\
&=1.0666\ldots
\end{align}\]
\[
\therefore
\overline{GM}>0より安定である
\]
$(5)$
\[\begin{align}
T&=W\overline{GM}\sin10^\circ\\
&=600\times (3\times 6 \times 10)\times 9.8 \times 1.0666 \times \sin10^\circ\\
&=196029\ldots\\
&=196\,\rm{kN}
\end{align}\]
流体の静力学(12) 並進運動の相対的静止
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すように,密度$\rho$の液体を入れた容器が$x$方向に加速度$a$で運動している.
次の問いに答えよ.
ただし,水の密度を$1000\,\rm{kg/m^3}$,重力加速度を$g=9.8\,\rm{m/s^2}$,端数について有効数字$3$桁とする.
%=image:/media/2015/01/15/142125801040106800.png:
$(1)$
垂直方向($y$方向)の微小要素(a)について,力のつり合い式を立てて,垂直方向の圧力変化$\frac{\partial p}{ \partial y}$を求めよ.
$(2)$
水平方向($x$方向)の微小要素(b)について,ダランベールの原理による力のつり合い式を立てて,水平方向の圧力変化$\frac{\partial p}{ \partial x}$を求めよ.
$(3)$
圧力$p(x,y)$の全微分は$dp=\left(\frac{\partial p}{ \partial x} \right)dx+\left(\frac{\partial p}{ \partial y} \right)dy$である.
このことにより,自由表面$(p=p_0)$となる液面の形状が次式で表現されることを示せ.
ただし,容器の左内壁$(x=0)$における液面高さを$y=0$とする.
\[
y=-\frac{a}{g}x
\]
$(4)$
また,水平面に対する液面の角度$\theta$を表現せよ.
$(5)$
高さ$H=2\,\rm{m}$,幅$L=2\,\rm{m}$の内部寸法の容器に,最初,$1.5\,\rm{m}$の深さにまで水が入れられている.
この容器を水平方向に等加速度運動させて,容器から水が溢れないようにするには,加速度$a$をいくら以下にしなければならないかを求めよ.
解答例・解説
$(1)$
\[
p\cdot dA-\left( p+\frac{\partial p}{ \partial y}dy \right)dA-\rho \cdot dA\cdot dy\cdot g=0\\
\frac{\partial p}{ \partial y}dy\cdot dA=\rho \cdot dA \cdot dy \cdot g\\
\frac{\partial p}{ \partial y}=-\rho g
\]
$(2)$
\[
P\cdot dA-\left( p+\frac{\partial p}{ \partial x}dx \right)dA-\rho \cdot dA\cdot dx\cdot a=0\\
\frac{\partial p}{ \partial x}dx\cdot dA=\rho \cdot dA \cdot dx \cdot a\\
\frac{\partial p}{ \partial x}=-\rho a
\]
$(3)$
\[\begin{align}
dp
&=\left(\frac{\partial p}{ \partial x} \right)dx+\left(\frac{\partial p}{ \partial y} \right)dy\\
&=-\rho\cdot a \cdot dx-\rho\cdot g \cdot dy\\
\end{align}\]
\[
自由表面は等圧だから,dp=0
\]
\[
\therefore 0=-\rho\cdot a \cdot dx-\rho\cdot g \cdot dy\\
dy=-\frac{a}{g}dx
\]
\[
両辺を積分して,\\
y=-\frac{a}{g} x + C\\
ここで,x=0 \ で \ y=0 \ より \ C=0\\
\therefore
y=-\frac{a}{g}x
\]
$(4)$
\[
\tan\theta=-\frac{a}{g}\\
\theta=\tan^{-1}\left(-\frac{a}{g} \right)
\]
$(5)$
あふれる臨界の傾きは,
\[
\frac{a}{g}\leqq \frac{(2-1.5)\times 2}{2}=0.5\\
a\le 9.8\times 0.5 =4.9\\
\therefore
4.9\,\rm{m/s^2}以下
\]
流体の静力学(13) 回転運動の相対的静止
適用レベル
難易度: ★★★
図に示すような半径$R$の円筒容器に密度$\rho$の液体を入れ,垂直軸まわりに一定の角速度$\omega$で回転させる.
次の問いに答えよ.
%=image:/media/2015/01/15/142125780885835700.png:
$(1)$
垂直方向($y$方向)の微小要素(a)について,力のつり合い式を立てて,垂直方向の圧力変化$\frac{\partial p}{\partial y}$を求めよ.
$(2)$
回転の半径方向($r$方向)の微小要素(b)について,ダランベールの原理による力のつり合い式を立てて,半径方向の圧力変化$\frac{\partial p}{\partial r}$を求めよ.
$(3)$
圧力$p(r,y)$の全微分は$dp=\left(\frac{\partial p}{\partial r} \right)dr + \left(\frac{\partial p}{\partial y} \right)dy$である.
このことにより,自由表面$(p=p_0)$となる液面の形状が次式で表現されることを示せ.
ただし,液面の中心部$(r=0)$における液面高さを$y=0$とする.
\[
y=\frac{\omega^2 r^2}{2g}
\]
解答例・解説
$(1)$
\[
p\cdot dA-\left(p+\frac{\partial p}{\partial y} dy \right)dA-\rho \cdot dA\cdot dy\cdot g=0\\
\frac{\partial p}{\partial y}dy = -\rho \cdot dy \cdot g\\
\therefore
\frac{\partial p}{\partial y} = - \rho g
\]
$(2)$
\[
p\cdot dA \cdot dr \cdot r\omega^2+p\cdot dA- \left(p+\frac{\partial p}{\partial r}dr \right)=0\\
\rho \cdot dr \cdot r\omega^2- \frac{\partial p}{\partial r}dr=0\\
\therefore
\frac{\partial p}{\partial r}=\rho r \omega^2
\]
$(3)$
\[
dp=\left(\frac{\partial p}{\partial r} \right)dr + \left(\frac{\partial p}{\partial y} \right)dy\\
dp=\rho r \omega^2\cdot dr+\rho g \cdot dy\\
\]
液面では$dp=0$だから,液面の微分方程式は
\[
\rho g \cdot dy=\rho r \omega^2\cdot dr
\]
\[
\frac{\partial p}{\partial r}=\frac{r \omega^2}{g}
\]
両辺を積分して
\[
y=\frac{\omega^2 r^2}{2g}+C
\]
ここで$r=0$で$y=0$だから,
\[
C=0
\]
\[\therefore
y=\frac{\omega^2 r^2}{2g}
\]