取組と概要
システムの取組
全体計画
このシステムの概要を説明するために、数学で「ベクトルの内積」を学び、電磁気学で「ポテンシャルエネルギー」を学ぶという例を挙げる。数学で内積を学ぶとき、多くの学生は「内積とは何か」、「何のために使うのか」という疑問をもつ。ここで数学の側からは、概して専門学科で使われる例を示して説明することを好まない場合が多い。一方、専門科目でポテンシャルエネルギーを学ぶとき、「内積? 積分?」など、数学が障壁となって、十分な理解を得られないままに、ただ問題の解法技術だけを身につけていく、という状況が少なくない (図 1-1)。
図 1-1
数学活用大辞典の全体像は図 1-2のようになっており、事典項目、例題、索引において応用例や参考などで相互リンクされ、例題を解きながら事典を参照するほか、事典の項目からその項目の応用例を知ることもでき、学習意欲の向上に役立つ機能を備えている。国立高専機構が策定した「モデルコアカリキュラム」の項目を習得するための問題、関連する項目の解説画面を用意し、コアカリキュラムのそれぞれに必要なリンクだけを選択すれば、「コアカリキュラム習得ための数学大活用事典」を構築し、コアカリキュラムの質の保証に寄与することができる。さらに、本システムは、自分にとって必要な【専門科目】の問題だけを選んだり、新たに必要となった項目を付加するなどのアレンジが可能となっており、継続的にバージョンジョンアップしていくことができる。仮に、ある学生が、自分に必要な科目などを項目だけを選べば、自分のためだけの、いわば『My 数学活用大事典』を作ることができる。
図 1-2
概要
専門分野ごとに必要となる数学項目を厳選
図 2-1 の緑枠として表示されている例題集画面には、「○○分野のための事典」と表記され (図 2-1 の赤枠)、各分野で必要な数学等の基本事項のみを一覧表示できる。
図 2-2 は機械分野のための事典を表示した例である。これにより、学生は各分野で必要となる基礎知識を効率的に参照できる。なお、この事典項目は例題集からのリンク情報を更新すると自動的に更新されため、分野毎の事典作成のための新たな作業が不要である。
図 2-1
図 2-2
数学学習時に専門科目で使われる例がわかる
図 2-3 の左側は数学事典において三角関数の加法定理を説明している画面例である。左下に加法定理が使用される専門項目が表示されるので、数学学習時の意欲向上につながるものと期待される。
図 2-3
専門学習時に必要な基礎知識を即座に復習可能
図 2-3 の右側は、専門科目の例題画面例である。例題は、「問題部分」、「基本知識 (ヒント)」、「解答例・解説」、「参考」で構成される。「解答例・解説」に基礎知識へのリンクを記述しておくと、必要な数学基礎知識が記述されている画面が即座に表示できる。「参考」に基礎知識を登録しておくと、応用例として基礎知識画面からも参照できる。
その他
柔軟なシステムアクセス
数学活用大事典はウェブブラウザから利用可能なものとした。閲覧可能なコンテンツは、可能な限りブラウザでの差異がないようにし、原則として PC、タブレット、スマートフォンから利用することができるようにした。
TeX または Word で手軽に編集
図 2-1 右下にある「管理画面へ」を選択すると図 2-4 の管理画面が表示される。管理画面では、分野、科目、章、事典項目、例題の追加・削除・修正が行える。図 2-5 の例題追加画面では、問題を TeX 入力し、解答例を Word 入力している。基礎知識へのリンクも図5右上の入力補助ツールにより簡単に設定できる。
図 2-4
図 2-5
TeX 入力のデモ
本システムではオープンソースの数式表示エンジン MathJax を使用している。MathJax を使うと、普段使用しているウェブブラウザ上で、追加の数式フォントやプラグインをインストールすることなく、 TeX と同等の高い品質で数式を表示できる。下記入力エリアでTeXを入力できるデモを用意した。