線形微分方程式
$x$ の関数 $y$ に関する常微分方程式
%
\begin{align*}
y^{(n)}
+p_1(x)y^{(n-1)}
+\cdots
+p_n(x)y
&=
0
&\cdots \cdots \maru{1}
\\
y^{(n)}
+p_1(x)y^{(n-1)}
+\cdots
+p_n(x)y
&=
r(x)
&\cdots \cdots \maru{2}
\end{align*}
%
(ただし $r(x) \ne 0$) を
\ommindex{$\boldsymbol n$階線形微分方程式}{せんけいじょうびぶんほうていしき}という。
このうち,
\maru{1} を\ommindex{斉次}{さいじ},
\maru{2} を\ommindex{非斉次}{ひさいじ}であるという。
また, $p_1(x), p_2(x), \dots, p_n(x)$ がすべて定数であるとき,
\maru{1},
\maru{2} は\ommindex{定数係数}{ていすうけいすう}であるという。
線形微分方程式の性質
線形微分方程式は次の性質をもつ。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$y_1$, $y_2$ がともに斉次線形微分方程式 \maru{1} の解であるとする。
このとき,
任意の定数 $a$, $b$ に対して $ay_1+by_2$ は \maru{1} の解である。
\item[(2)]
\maru{1} の解 $y_1$, $y_1$, $\ldots$, $y_k$ に対して,
行列式
%
\begin{align*}
W(y_1,y_2,\ldots,y_k)
=
\left|\begin{array}{cccc}
y_1 & y_2 & \cdots & y_k
\\
y'_1 & y'_2 & \cdots & y'_k
\\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots
\\
y^{(k)}_1 & y^{(k)}_2 & \cdots & y^{(k)}_k
\end{array}\right|
\end{align*}
%
を\ommindex{ロンスキーの行列式}{ろんすきーのぎょうれつしき}という。
$W(y_1,y_2,\ldots,y_k)\ne 0$ であるとき,
$y_1$, $y_1$, $\ldots$, $y_k$ は\ommindex{線形独立}{せんけいどくりつ}
であるという。
$y_1$, $y_2$, $\ldots$, $y_n$ が,
$n$ 階斉次線形微分方程式 \maru{1} の線形独立な解であるとき,
%
\begin{align*}
C_1y_1+C_2y_2\cdots +C_ny_n
\quad
(\mbox{$C_1$, $C_2$, $\ldots$, $C_n$ は任意定数})
\end{align*}
%
は \maru{1} の一般解である。
\item[(3)]
$C_1y_1+C_2y_2\cdots +C_ny_n$ が斉次線形微分方程式 \maru{1} の一般解,
$\varphi$ が非斉次線形微分方程式 \maru{2} の1つの解であるとき,
%
\begin{align*}
C_1y_1+C_2y_2\cdots +C_ny_n+\varphi
\end{align*}
%
は,
\maru{2} の一般解である。
\end{enumerate}
定数係数1階線形微分方程式
$\bullet$
$P(x)$ の $p(x)$ の原始関数とするとき,
斉次1階線形微分方程式
%
\begin{align*}
y'+p(x)y=0
\end{align*}
%
の一般解は $y=Ce^{-P(x)}$ ($C$ は任意定数) である。
$\bullet$
$p$, $r$ を定数,
$p\ne 0$ とする。
このとき,
定数係数斉次1階線形微分方程式
%
\begin{align*}
y'+py=r
\end{align*}
%
の一般解は $y=Ce^{-px}+\frac{r}{p}$ ($C$ は任意定数) である。
定数係数2階線形微分方程式
定数係数斉次2階線形微分方程式
%
\begin{align*}
y^{\prime\prime}+ay'+by=0
\end{align*}
%
に対して,
$\lambda$ に関する2次方程式
%
\begin{align*}
\lambda^2+a\lambda+b=0
\end{align*}
%
をその\ommindex{特性方程式}{とくせいほうていしき}という。
定数係数斉次2階線形微分方程式の一般解は,
その特性方程式の解によって次のように分類される。
%
\begin{enumerate}
\item[(1)]
$\lambda=\alpha, \beta$ (2つの異なる実数解) であるとき
%
\begin{align*}
y=Ae^{\alpha x}+Be^{\beta x}
\end{align*}
%
\item[(2)]
$\lambda=\alpha$ (2重解) であるとき
%
\begin{align*}
y=e^{\alpha x}(Ax+B)
\end{align*}
%
\item[(3)]
$\lambda=\alpha+i\omega$ (虚数解) であるとき
%
\begin{align*}
y=e^{\alpha x}(A\cos{\omega x}+B\sin{\omega x})
\end{align*}
%
\end{enumerate}