数学・工学事典

正則関数

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領域

% $xy$ 平面上の点 $(x,y)$ に複素数 $x+iy$ を対応させた平面を \ommindex{複素平面}{ふくそへいめん}または \ommindex{ガウス平面}{がうすへいめん}という。 複素平面上の点集合 D に含まれる任意の2点が, D に含まれる曲線によって結ぶことができるとき, D は\ommindex{連結}{れんけつ}であるという。 複素平面上の点集合 D に対して, 点 P を中心とするどんな小さな円を描いても, その円の内部に D の点とそれ以外の点が含まれてしまうとき, 点 P は D の\ommindex{境界}{きょうかい}であるという。 その境界の点をすべて含む 点集合を\ommindex{閉集合}, その境界のどんな点も含まない 点集合を\ommindex{開集合}{かいしゅうごう}という。 連結な開集合を\ommindex{領域}{りょういき}という。 %

複素関数

% 複素平面上の領域 D の点 $z=x+iy$ に, 複素数 $w=u+iv$ を対応させる規則を, D を\ommindex{定義域}{ていぎいき}とする \ommindex{複素関数}{ふくそかんすう}といい, $w=f(z)$ のように表す。 このとき, $z$ を\ommindex{独立変数}{どくりつへんすう}, $w$ を\ommindex{従属変数}{じゅうぞくへんすう}という。 複素関数に対して, 独立変数, 従属変数がともに実数である関数を \ommindex{実関数}{じつかんすう}という。 複素関数では, 1つの複素数 $z=x+iy$ に対して, 複数の複素数を対応させる関数を扱う場合がある。 このような関数を\ommindex{多価関数}{たかかんすう}という。 これに対して, 1つの複素数 $z=x+iy$ にただ1つの複素数を対応させる関数を \ommindex{1価関数}{いっかんかんすう}という。 複素平面上の点 $z$ が点 $\alpha$ とは異なる点をとりながら 点 $\alpha$ に限りなく近づいていくことを, $z\to \alpha$ と表す。 $z\to \alpha$ のとき, その近づき方によらず $f(z)$ が複素数 $\beta$ に限りなく近づいていくならば, $f(z)$ は $\beta$ に\ommindex{収束}{しゅうそく}するといい, % \begin{align*} \lim_{z\to \alpha}f(z)=\beta \quad \mbox{または} \quad f(z)\to \beta\quad (z\to\alpha) \end{align*} % などと表す。点 $\alpha$ を, ${z\to \alpha}$ のときの $f(z)$ の\ommindex{極限値}{きょくげんち}という。 点 $\alpha$ を含む領域で定義された複素関数 $f(z)$ について, 極限値 $\displaystyle\lim_{z\to \alpha}f(z)$ が存在して, % \begin{align*} \lim_{z\to \alpha}f(z)=f(\alpha) \end{align*} % を満たすとき, $f(z)$ は点 $\alpha$ で\ommindex{連続}{れんぞく}であるという。 $f(z)$ が領域 D のすべての点で連続であるとき, $f(z)$ は領域 D で連続であるという。 %

正則関数

% 複素関数 $f(z)$ について, 領域 D に含まれる点 $\alpha$ と複素数 $\varDelta{z}$ に対して, 極限値 % \begin{align*} \lim_{\varDelta{z}\to 0} \frac{f(\alpha+\varDelta{z})-f(\alpha)}{\varDelta{z}} \end{align*} % が存在するとき, $f(z)$ は点 $\alpha$ で\ommindex{微分可能}{びぶんかのう}であるという。 このとき, この極限値を $f(z)$ の点 $\alpha$ における \ommindex{微分係数}{びぶんけいすう}といい, $f'(\alpha)$ と表す。 点 $z=\alpha$ を含むある領域のすべての点で $f(z)$ がであるとき, $f(z)$ は点 $\alpha$ でであるという。 また, 領域 D に含まれるすべての点で微分可能であるとき, $f(z)$ は領域 D で\ommindex{正則}{せいそく}であるという。 このとき, $f(z)$ を領域 D 上の\ommindex{正則関数}{せいそくかんすう}という。 領域 D 上の正則関数 $w=f(z)$ に対して, D 内の点 $\alpha$ に微分係数 $f'(\alpha)$ を対応させる関数を, $w=f(z)$ の\ommindex{導関数}{どうかんすう}といい % \begin{align*} w', \quad f'(z), \quad \frac{dw}{dz}, \quad \frac{df}{dz} \end{align*} % と表す。 この記号を用いると, 正則関数 $w=f(z)$ の導関数は, 次のように表される。 % \begin{align*} f'(z) =\lim_{\varDelta{z}\to 0}\frac{f(z+\varDelta{z})-f(z)}{\varDelta{z}} \end{align*} % 複素関数 $f(z)=u(x,y)+iv(x,y)$ と表されているとする。 $f(z)=u(x,y)+iv(x,y)$ が正則であれば, $u(x,y)$, $v(x,y)$ は偏微分可能で % \begin{align*} \frac{\partial u}{\partial x}=\frac{\partial v}{\partial y}, \quad \frac{\partial v}{\partial x}=-\frac{\partial u}{\partial y} \end{align*} % を満たす。 これらの式を\textbf{コーシー・リーマンの関係式}という。 $u(x,y)$, $v(x,y)$ が偏微分可能で, すべての偏導関数が連続であるとする。 このとき, $u(x,y)$, $v(x,y)$ がコーシー・リーマンの関係式を満たしていれば, $w=u(x,y)+iv(x,y)$ は正則で, % \begin{align*} \frac{dw}{dz} = \frac{\partial u}{\partial x}+i\frac{\partial v}{\partial x} \end{align*} % が成り立つ。 %

いろいろな正則関数

% \begin{enumerate} \item[(1)] $n$ を自然数とするとき, $w=z^n$ は全平面で正則であり, その導関数について次が成り立つ。 % \begin{align*} \left(z^n\right)' = nz^{n-1} \end{align*} % \item[(2)] $w=\frac{1}{z}$ は $z=0$ を除く領域で正則であり, その導関数について次が成り立つ。 % \begin{align*} \left(\frac{1}{z}\right)' = -\frac{1}{z^2} \end{align*} % \item[(3)] 複素数 $z=x+iy$ に対して, % \begin{align*} e^z = e^{x}\left(\cos{y}+i\sin{y}\right) \end{align*} % と定める。 $w=e^{z}$ を(複素関数の)\ommindex{指数関数}{しすうかんすう}という。 このとき, $w=e^{z}$ は全平面で正則であり, その導関数について次が成り立つ。 % \begin{align*} \left(e^z\right)' = e^z \end{align*} % \item[(4)] 複素数 $z=x+iy$ に対して, % \begin{align*} \cos{z} = \frac{e^{z}+e^{-iz}}{2}, \quad \sin{z} = \frac{e^{z}-e^{-iz}}{2}, \quad \tan{z} = \frac{e^{z}+e^{-iz}}{e^{z}-e^{-iz}} \end{align*} % と定める。 これらの関数を(複素関数の)\ommindex{三角関数}{さんかくかんすう}という。 このとき, $w=\cos{z}$, $w=\sin{z}$ は全平面で, $w=\tan{z}$ は $z=n\pi+\frac{\pi}{2}$ ($n$ は整数) を除く領域で 正則であり, その導関数について次が成り立つ。 % \begin{align*} \left(\cos{z}\right)' = -\sin{z}, \quad \left(\sin{z}\right)' = \cos{z}, \quad \left(\tan{z}\right)' = \frac{1}{\cos^2{z}} \end{align*} % \end{enumerate} %