例題集

多段CSTRにおける滞留時間分布関数のグラフ

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 多段CSTRの$N$段目のステップ応答$F(\theta)$に対する滞留時間分布関数は \[E(\theta)=N\exp(-N\theta)\frac{(N\theta)^{N-1}}{(N-1)!}\] である。$N=1,2,3$のときのグラフをかけ。
{\bf 方針} \begin{enumerate} \item $E'(\theta)=0$となる$\theta$の値を求め、 その前後における$E'(\theta)$の符号を調べて増減表を作る。 \end{enumerate} {\bf 解答}  $N=1$のとき、$E(\theta)=\exp(-\theta)$である。 $E'(\theta)=-\exp(-\theta)<0$であるから、 $E(\theta)$は$\theta\ge 0$のとき単調減少であり、 $\lim_{\theta\to\infty}E(\theta)=0$である。  $N=2$のとき、$\displaystyle E(\theta)=2\exp(-2\theta)\cdot\frac{2\theta}{1!} =4\exp(-2\theta)\cdot \theta$であるので、 \[E'(\theta)=-8\exp(-2\theta)\cdot \theta+4\exp(-2\theta)\cdot 1 =-4\exp(-2\theta)(2\theta-1)\] となる。したがって、$E'(\theta)=0$となるのは$\theta=\frac12$のときであり、 増減表は下記のようになる。 また、ロピタルの定理より \begin{align*} \lim_{\theta\to\infty}E(\theta) &=\lim_{\theta\to\infty}4\exp(-2\theta)\cdot \theta =\lim_{\theta\to\infty}\frac{4\theta}{\exp(2\theta)} =\lim_{\theta\to\infty}\frac{4}{2\exp(2\theta)}=0 \end{align*} である。  $N=3$のとき、 $\displaystyle E(\theta)=3\exp(-3\theta)\cdot\frac{(3\theta)^2}{2!} =\frac{27}{2}\exp(-3\theta)\cdot \theta^2$ であり、 \[E'(\theta) =-\frac{81}{2}\exp(-3\theta)\cdot \theta^2+27\exp(-3\theta)\cdot\theta =-\frac{27}{2}\exp(-3\theta)\cdot\theta(3\theta-2)\] となる。 $E'(\theta)=0$となるのは$\theta=\frac23$のときであり、 増減表は下記のようになる。 また、ロピタルの定理により \begin{align*} \lim_{\theta\to\infty}E(\theta) &=\lim_{\theta\to\infty}\frac{27}{2}\exp(-3\theta)\cdot \theta^2 =\lim_{\theta\to\infty}\frac{27\theta^2}{2\exp(3\theta)}\\ &=\lim_{\theta\to\infty}\frac{54\theta}{6\exp(3\theta)} =\lim_{\theta\to\infty}\frac{54}{18\exp(3\theta)}=0 \end{align*} である。  以上により、$E(\theta)$のグラフは次のようになる。 $N=5,10,30$のグラフも示した。 %=image:/media/2014/08/26/140898757154746900.jpg:$N=2$のときの増減表 %=image:/media/2014/08/26/140898757154822300.jpg:$N=3$のときの増減表 %=image:/media/2014/08/26/140898757154887800.jpg:$N=1,2,3,10,30$のときのグラフ