例題集

流体の性質(11) 表面張力と毛細管現象

適用レベル   難易度: ★★★
図に示すように空気に接している水中に立てた内径$d$のガラス細管中を上昇する液柱高さ$h$を求めたい. 水の密度を$\rho$,重力加速度を$g$,水が空気に接触するときの表面張力を$\sigma$,水とガラス管内壁の接触角を$\theta$として,次の問いに答えよ. %=image:/media/2015/01/15/142125765116295700.png: $(1)$ 管内の液面と管壁内面の交わりに沿って働く表面張力による力$F$を数式で示せ. $(2)$ 表面張力による力$F$の鉛直方向成分$F_y$を数式で示せ. $(3)$ 直径$d$,高さ$h$の水柱に働く重力$W$を数式で示せ. $(4)$ 鉛直方向の力のつり合い式を立てよ. $(5)$ 求める液柱高さ$h$を数式で示せ. $(6)$ 接触角$\theta = 8^\circ$,表面張力$\sigma = 0.0728\,\rm{N/m}$の条件下で,密度$\rho = 1000\,\rm{kg/m^3}$の水を毛細管現象を利用して高さ$h=5\,\rm{cm}$以上に吸い上げたい. ガラス管の内径$d$をいくら以下に設計すればよいか答えよ. ただし,有効数字$3$桁で答えよ.
$(1)$ (表面張力による力)=(界線の長さ)×(表面張力)だから, \[ F=\pi d\sigma \] $(2)$ $F$の鉛直方向成分は$F\cos\theta$だから, \[ F_y=\pi d\sigma \cdot \cos\theta \] $(3)$ 重力$W=mg=V\rho g$だから, \[ W=\frac{\pi}{4}d^2h \rho g \] $(4)$ 鉛直方向の力のつり合い式より, \[ F_y= W\\ \pi d \sigma\cdot \cos\theta = \frac{\pi}{4}d^2h\rho g\\ \therefore \sigma \cdot \cos\theta = \frac{dh \rho g}{4} \] $(5)$ 力のつり合い式を整理して, \[ h=\frac{4\sigma \cdot \cos\theta}{d \rho g} \] $(6)$ \[ \frac{4 \times 0.0728 \times \cos8^\circ}{d \times 1000 \times 9.8}\ge 5 \times 10^{-2}\\ d \le \frac{4 \times 0.0728 \times \cos8^\circ}{1000 \times 9.8 \times 5 \times 10^{-2}}\\ d \le 0.005885\\ d \le 0.00589\\ \] \[ \therefore dは5.89\,\rm{mm}以下にしなければいけない \]