例題集

吸着平衡定数と飽和吸着量 (直線の式)

分析レベル   難易度:
活性炭へのトルエン蒸気の吸着量を測定した結果, 下表を得た. $$\begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline C\, \textrm{[mol$/$m${}^3$]} & 0.005 & 0.010 & 0.020 & 0.040 & 0.060 \\\hline q\, \textrm{[mol$/$kg]} & 0.44 & 0.78 & 1.3 & 1.9 & 2.2 \\\hline \end{array}$$ トルエン蒸気濃度$C$と吸着量$q$の間にLangmuir(ラングミュア)型吸着等温式 $$q=\frac{q_m KC}{1+KC}$$ が成立するとして, 吸着平衡定数$K$と飽和吸着量$q_m$を求めよ.
{\bf 【方針】} \item $q=\displaystyle\frac{q_m KC}{1+KC}$ を変形し, $\displaystyle\frac{C}{q}=\displaystyle\frac{1}{q_m}C+\displaystyle\frac1{q_mK}$ として, 横軸に$C$, 縦軸に$\displaystyle\frac{C}{q}$をとってプロットする ({\bf Langmuirプロット}) と直線が得られる. この直線の傾きと切片をグラフから読み取って, $q_m$, $K$ を求める. {\bf 【解答】} $q=\displaystyle\frac{q_m KC}{1+KC}$ の両辺の逆数をとって, $$\frac1q=\frac{1+KC}{q_mKC}$$ $$\frac1q=\frac{1}{q_mKC}+\frac{1}{q_m}$$ 両辺に$C$をかけて, $$\frac{C}q=\frac{1}{q_mK}+\frac{C}{q_m}$$ $C$と$\displaystyle\frac{C}{q}$の関係を表にすると次のようになる. $$\begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline C\, \textrm{[mol$/$m${}^3$]} & 0.005 & 0.010 & 0.020 & 0.040 & 0.060 \\\hline q\, \textrm{[mol$/$kg]} & 0.44 & 0.78 & 1.3 & 1.9 & 2.2 \\\hline C/q\, \textrm{[kg$/$m${}^3$]} & 0.011 & 0.013 & 0.015 & 0.021 & 0.027 \\\hline \end{array}$$ 表の計算値から, 横軸に$C$, 縦軸に$\displaystyle\frac{C}{q}$ をとってプロットすると, 傾き$\displaystyle\frac{1}{q_m}$, 切片$\displaystyle\frac1{q_mK}$ の直線が得られる. %=image:/media/2014/12/29/141985980082593000.jpg: グラフから, この直線の傾きは$0.29$, 切片は$0.0098$であることが分かる. これより, $$q_m = \frac{1}{0.29} = 3.4\, \textrm{mol$/$kg}$$ $$K = \frac{1}{0.0098q_m} = \frac{1}{0.0098\times3.4} = 30 \, \textrm{m${}^3/$mol}$$ 【注意】 \item 方程式 $y=mx+b$ は傾き $m$, 切片 $b$ の直線を表す.