例題集

化学工学

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温度による粘度変化の読み取り

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温度$t$における空気の粘度$\mu$の値を下表に示す. ここで$t$と$\mu$の間には, $\mu=At+B$ ($A,B$ は定数) の関係式が成り立つことがわかっている. % $$\begin{array}{|c|*{6}{c|}} \hline t\, \textrm{[${}^\circ$C]} & 10 & 20 & 30 & 50 & 80 \\\hline \mu\, \textrm{[mPa$\cdot$s]} & 0.0176 & 0.0181 & 0.0186 & 0.0195 & 0.0209 \\\hline \end{array}$$ % 係数$A,B$を最小二乗法で決定し, $t=43$[${}^\circ$C]のときの粘度を求めよ. ここで, 関数$y=Ax+B$ の係数 $A, B$ は最小二乗法を用いて, データ $x_i, y_i$ ($i=1,2,\dots, n$) から, 次式 (1) (2)で求められる. (1) $A=\displaystyle\frac{\displaystyle\sum\limits_{i=1}^nx_i\cdot \sum\limits_{i=1}^ny_i-n\sum\limits_{i=1}^n(x_iy_i)}{\left(\displaystyle\sum\limits_{i=1}^nx_i\right)^2-n \displaystyle\sum\limits_{i=1}^n{x_i}^2}$ \bigskip (2) $B=\displaystyle\frac{\displaystyle\sum\limits_{i=1}^nx_i\cdot\sum\limits_{i=1}^n(x_iy_i)-\sum\limits_{i=1}^nx_i^2\cdot\sum\limits_{i=1}^ny_i}{\left(\displaystyle\sum\limits_{i=1}^nx_i\right)^2-n \displaystyle\sum\limits_{i=1}^n{x_i}^2}$

蒸留計算

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枝付フラスコにメタノールと水の混合溶液(メタノールの質量分率$x_1=0.5$, 質量$S_1=500$[g])を入れて, メタノールの質量分率が$x_2=0.2$になるまで蒸留した. 蒸留後にフラスコに残った液の質量$S_2$を以下の気液平衡データより求めよ. % $$ \begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline x & 0.1 & 0.2 & 0.3 & 0.4 & 0.5 \\\hline y & 0.40 & 0.57 & 0.65 & 0.73 & 0.77 \\\hline \end{array} $$ % なお, $S_1$, $S_2$, $x$, $y$に関する以下の関係式(1)を用いて台形公式による数値積分で求めよ. $$\ln\displaystyle\frac{S_2}{S_1}=\displaystyle\int_{x_1}^{x_2}\frac{dx}{y-x}\qquad (1) $$ % ((1) は, {\bf レイリーの式}と呼ばれる蒸留の基礎式である)

比熱容量の算出

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300[K] の酸素を70 [$\textrm{mol}/\textrm{s}$]で装置に供給し, 500[K] に加熱して取り出している. このとき, 温度上昇に必要な熱量を求めよ. ただし, 酸素の定圧モル熱容量は$$C_{\textrm{pm}} = a + bT + cT^2\,\textrm{[J$/($K$\cdot$mol$)$]}$$ で与えられ, その係数は次の通りである. $a = 25.59$[$\textrm{J}/{(\textrm{K}\cdot\textrm{mol})}$], $b = 13.25×10^{-3}$[$\textrm{J}/{(\textrm{K}^2\cdot\textrm{mol})}$] , $c = -4.21×10^{-6}$[$\textrm{J}/{(\textrm{K}^3\cdot\textrm{mol})}$]

流体の機械的エネルギー収支

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流体がある流路を断面① から断面② まで通過するとき, 外部から流体に熱$q$ [J/kg]を加え, また仕事$W$ [J/kg]を与えると, 流体の内部エネルギー$U$ [J/kg]が$U_1$ [J/kg]から$U_2$ [J/kg]に変化する. 断面①, ② の高さを$h_1$, $h_2$ [m], 平均流速を$u_1$, $u_2$ [m/s], 圧力を$p_1$, $p_2$ [Pa], 比容積を$v_1$, $v_2$ [m${}^3$/kg] とし, 重力加速度を$g$ [m/s${}^2$]とするき, エネルギー保存の式は次のようになる. $$ gh_1+\displaystyle\frac{u_1^2}{2}+p_1 v_1+U_1+q+W=gh_2+\displaystyle\frac{u_2^2}{2}+p_2 v_2+U_2 \quad\cdots\quad(1)$$ 外部から加えられた熱エネルギー$q$と, 粘性によって生じた摩擦熱のエネルギー$F$ [J/kg]は, 流体の内部エネルギーの増加と流体の膨張に使われ, 次の式が成り立つ. $$ q+F=U_2-U_1+\int_{v_1}^{v_2}p\,dv \quad\cdots\quad(2)$$ $(1)$, $(2)$ を使って, 次の関係式を導け. $$ gh_1+\displaystyle\frac{u_1^2}{2}+W=gh_2+\displaystyle\frac{u_2^2}{2}+\int_{p_1}^{p_2}v\,dp+F\quad\cdots\quad(3) $$ %=image:/media/2014/11/18/141625075561377100.jpg:

円管内層流流動

適用レベル   難易度:
ニュートン流体が半径$R$ [m]の円管内を層流で流れている. 管内の半径$r$ [m], 長さ$L$ [m]の円柱形流体要素に加えられる力は, 断面に作用する圧力差$\varDelta p$ $(=p_1 - p_2)$ [Pa]による力と, 側面に作用する粘性による剪断応力$\tau$ [N/m${}^2$]による力があり, 定常状態ではこれらがつりあって次の式が成り立つ. $$\pi r^2 \varDelta p=2\pi rL\tau\quad\cdots\quad(1)$$ 管内の任意の半径位置$r$における流速を$u$ [m/s]とすると, ニュートンの粘性法則から, $$\tau=-\mu\frac{du}{dr}\quad\cdots\quad(2)$$ が成り立つ. ここで $\mu$ [kg/(m・s)]は流体の粘度である. これらの式より, 次の関係を導け. $$u=\frac{\varDelta p}{4\mu L}(R^2-r^2)\quad\cdots\quad(3)$$ %=image:/media/2014/11/18/141625189222822400.jpg:

理想溶液の回分単蒸留

適用レベル   難易度:
低沸点成分モル分率$x_s$の原液$L_s$ [mol]を回分単蒸留して, 低沸点成分モル分率$x_f$の釜残液$L_f$ [mol]を得るとき, 次のRayleigh(レイリー)の式が成り立つ. $$\ln \frac{L_f}{L_s} =\int_{x_s}^{x_f}\frac{dx}{y-x}\quad\cdots\quad(1)$$ ここで$y$は低沸点成分モル分率$x$の液と平衡な蒸気の低沸点成分モル分率である. 理想溶液の場合, 蒸気のモル分率$y$は相対揮発度$\alpha$ を用いて液のモル分率$x$の関数として次のように表わせる. $$y=\frac{αx}{1+(α-1)x}\quad\cdots\quad(2)$$ 理想溶液の場合のRayleighの式はどのように表わせるか.

熱伝導に関するフーリエの法則

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固体の$x$方向に温度勾配$\displaystyle\frac{dT}{dx}$ [K/m]がある場合, 熱伝導による伝熱速度$q$ [J/s]は、固体の熱伝導度$k$ [J/(m・s・K)]と伝熱面積$A$ [m${}^2$]を用いて次のFourier(フーリエ)の法則で表せる. $$q=-kA \frac{dT}{dx}$$ なお, 円筒座標や球座標で半径$r$方向に温度勾配$\displaystyle\frac{dT}{dr}$がある場合は次の式となる. $$q=-kA\frac{dT}{dr}$$ 固体壁を横切るように熱伝導が起こっている場合を考える. 定常状態で$q$は一定であり, 熱伝導度$k$は温度によらず一定と仮定する. %Fourierの式は, 次のようになる. %$$q\int_{x_1}^{x_2} \frac{dx}{A}=-k\int_{T_1}^{T_2}\, dT=k(T_1-T_2)$$ 次のそれぞれの場合について, ( )内の条件のもとでFourierの法則の式の左辺を定積分することにより, 伝熱速度$q$を与える式を導け. \begin{enumerate} \item[(1)] 伝熱面積が$A$ (一定)である平面壁($x = x_1$ のとき $T = T_1$, $x = x_2$ のとき $T = T_2$) \item[(2)] 伝熱面積が$A= 2\pi rL$ である円筒壁($r = r_1$ のとき $T = T_1$, $r = r_2$のとき $T = T_2$) \item[(3)] 伝熱面積が$A = 4\pi r^2$である球殻壁($r = r_1$ のとき $T = T_1$, $r = r_2$ のとき $T = T_2$) \end{enumerate} ここで, $r$は円筒および球殻の半径, $L$は円筒の長さを表す. また, 伝熱面積$A_1$, $A_2$の平均値は, 次式で定義される対数平均面積$A_{lm}$, 幾何平均面積$A_{gm}$を利用せよ: $$A_{lm}=\frac{A_2-A_1}{\ln \displaystyle\frac{A_2}{A_1}},\ \ A_{gm}=\sqrt{A_1 A_2}$$ %=image:/media/2014/11/18/141625318523651300.jpg:

固体の乾燥速度と乾燥時間

適用レベル   難易度:
湿り固体を加熱して乾燥するとき, 乾燥速度$R$ [kg$/($m${}^2\cdot $s$)$]は含水量$W$ [--]の大きい間は一定値$R_c$となる. この期間を{\bf 恒率乾燥期間}と呼ぶ. しかし, 限界含水率$W_c$と呼ばれる含水率以下では乾燥速度は徐々に小さくなり, 平衡含水率$W_e$に達して乾燥が終わる. この期間を{\bf 減率乾燥期間}と呼ぶ. いずれの期間においても, 乾燥速度$R$は含水率$W$を時間$t$ [s]で微分した次の式で定義される. $$R=-\frac{M}{A}\frac{dW}{dt}$$ ここで$M$ [kg]は完全に乾燥させた固体の質量, $A$ [m${}^2$]は乾燥面積である. \begin{enumerate} \item[(1)] 恒率乾燥期間の乾燥速度を$R = R_c$として, 初期含水率$W_0$から限界含水率$W_c$まで乾燥するのに要する時間$t_c$を与える式を求めよ. \item[(2)] 減率乾燥期間の乾燥速度$R$が $$R=R_c\,\frac{W-W_e}{W_c-W_e}$$ で与えらえるとき, 限界含水率$W_c$から最終含水率$W_f$まで乾燥するのに要する時間$t_f$を与える式を求めよ.

粉砕エネルギーに関する理論

適用レベル   難易度:
粉砕エネルギー$E$ [J/kg] と粉砕される粒子径$d_p$ [m]との間には一般に次の関係が成立する. $$\frac{dE}{d(d_p)}=-\frac{K}{(d_p)^n} \qquad(*)$$ (1) Kick(キック)の法則($n = 1$), (2) Rittinger(リッティンガー)の法則($n = 2$), (3) Bond(ボンド)の法則($n = 3/2$)のそれぞれの場合について, 平均粒径$d_{p1}$の砕料を$d_{p2}$の砕製物に粉砕するときの粉砕エネルギー$E$を表す式を導け.

定圧濾過速度

適用レベル   難易度:
スラリーの濾過速度$u$ [m$/$s]は, 濾液体積$V$ [m${}^3$]を濾過時間$t$ [s]で微分した次式で定義される. $$u=\frac1A\,\frac{dV}{dt} \qquad\cdots(1)$$ ここで, $A$ [m${}^2$]は濾過面積である. 粒子層に対する圧力損失を表したKozeny-Carman(コゼニー-カルマン)の式から, 濾過速度をケークと濾材を通過する濾液の流速と考えると, $$u=\frac{\varDelta P}{(R_c+R_m)\mu} \qquad\cdots(2)$$ が成り立つ. ここで, $\varDelta P$ [Pa]は濾過圧力, $R_c$ [1$/$m]はケークの抵抗係数, $R_m$ [1$/$m]は濾材の抵抗係数, $\mu$ [$\textrm{kg}/(\textrm{m}\cdot\textrm{s})$]は濾液の粘度である. ケークの固形分質量$W_c$ [kg] は物質収支により次のように表わせる. $$W_c=\frac{\rho SV}{1-mS} $$ ここで $\rho$ [$\textrm{kg}/\textrm{m}^3$]は濾液の密度, $S$ [kg$/$kg]はスラリー中の固形分濃度, $m$ [kg$/$kg]はケークの固形分に対する全ケークの質量比である. ケークの抵抗係数$R_c$は単位濾過面積当たりのケークの固形分質量に比例するので, $$R_c=\frac{\alpha W_c}{A}=\frac{\alpha \rho SV}{(1-mS)A} \qquad\cdots(3)$$ が成り立つ. ここで $\alpha$ [m$/$kg]はケークの平均濾過比抵抗である. 濾材の抵抗係数$R_m$も同様に表わすと, $$R_m=\frac{\alpha\rho SV_m}{(1-mS)A} \qquad\cdots(4)$$ となる. ここで$V_m$ [m${}^3$] は濾材の抵抗に相当するケークを形成するのに必要な仮想濾液量である. これらの式を用いて, $\varDelta P$ を一定にして濾過を行った場合の, 濾液体積$V$と時間$t$の関係を求めよ.

吸着平衡定数と飽和吸着量 (直線の式)

分析レベル   難易度:
活性炭へのトルエン蒸気の吸着量を測定した結果, 下表を得た. $$\begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline C\, \textrm{[mol$/$m${}^3$]} & 0.005 & 0.010 & 0.020 & 0.040 & 0.060 \\\hline q\, \textrm{[mol$/$kg]} & 0.44 & 0.78 & 1.3 & 1.9 & 2.2 \\\hline \end{array}$$ トルエン蒸気濃度$C$と吸着量$q$の間にLangmuir(ラングミュア)型吸着等温式 $$q=\frac{q_m KC}{1+KC}$$ が成立するとして, 吸着平衡定数$K$と飽和吸着量$q_m$を求めよ.

活性化エネルギー (指数関数)

分析レベル   難易度:
様々な温度$t$で$\textrm{N${}_2$O${}_5$}$ の分解反応の反応速度定数$k$を求めたところ, 下表のようになった. $$\begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline t\, \textrm{[${}^{\circ}$C]} & 25 & 35 & 45 & 55 & 65 \\\hline k\, \textrm{[s${}^{-1}$]} & 3.5\times10^{-5} & 1.3\times10^{-4} & 4.8\times10^{-4} & 1.6\times10^{-3} & 4.9\times10^{-3} \\\hline \end{array}$$ 反応速度定数$k$と絶対温度$T$の間にはArrhenius(アレニウス)の式 $$k=A \exp\left(-\frac{E}{RT}\right)$$ が成立するとして, この反応の活性化エネルギー$E$を求めよ. ここで, $R$は気体定数である.

レイノルズ数と摩擦係数 (べき関数)

分析レベル   難易度:
長さ$L = 5.0$m, 内径$D = 2.8$cmの水平円管中に水を流して, 種々の平均流速$u$ で摩擦損失$F$を求めたところ, 下表のようになった. $$\begin{array}{|c|*{5}{c|}} \hline u\, \textrm{[m$/$s]} & 0.29 & 0.46 & 0.77 & 1.21 & 1.68 \\\hline F\, \textrm{[J$/$kg]} & 0.25 & 0.56 & 1.38 & 3.05 & 5.45 \\\hline \end{array}$$ レイノルズ数$Re$と摩擦係数$f$の間には次の式が成立する. $$f=a Re^b$$ 係数$a$, $b$の値を求めて式を完成せよ. ただし, レイノルズ数と摩擦係数は, 水の密度を $\rho = 1.0\times10^3$ [kg$/$m${}^3$], 粘度を $\mu = 1.0\times10^{-3}$ [kg$/$(m$\cdot$s)] として次の関係から導かれる. $$Re=\frac{D u \rho}{\mu},\ \ F=\frac{2fu^2 L}{D}$$